大学病院は様々な疾患や最先端の治療、検査など多くの経験から看護師としてのスキルを向上するためには最適な職場です。
ただ大学病院に就職後、長く働き続ける看護師は少ない。それほど忙しいとも言えます。
実際、大学病院で同期として入職した30人の看護師のうち、10年経った今でも働いている看護師は10人もいません。
わたし自身の経験も含め、大学病院の看護師が忙しく転職したくなる理由や転職方法をご紹介します。
大学病院って本当に忙しいの?!
大学病院は、様々な経験ができて看護師のスキルアップには最適な職場ですが、それと同時に毎日クタクタになるほど忙しい職場です。
「どこも同じじゃない?」「大学病院って本当に忙しいの?」という方にも分かりやすいように、具体的に忙しい理由を8つご紹介します。
プライベートの時間をつくれないのは本当?
大学病院は看護師の勤務体系で、2交代または3交代か、両方の勤務体系を取り入れている病院がほとんどです。
病棟や施設で働く看護師につきものの夜勤。 夜勤が多いと、生活リズムが狂ったり、体型に変化が出たりする一方で、銀行や市役所にいきやすい、通勤時の混雑を避けられるといったりする声も聞かれます。 本記事では、 …
「看護師の三交代は寿命が縮む」という噂を聞いたことはありますか? ただでさえ不規則な勤務シフトな上、看護師という仕事の特殊性も相まってこのような噂が流れていました。 本記事では三 …
日勤後に夜勤、夜勤後に夜勤といった不規則な勤務が続くので、どうしても身体の休息を優先させると休みの日は寝て過ごすことが多くなる。
せっかく取れた休日に自分のしたいことができず、また仕事が始まる日がやってきます。
つまり大学病院で働く看護師は、仕事の忙しさにより体調を崩さないように、寝るだけの休日になりプライベートの時間がないということです
入院患者の数が多いのが大学病院
大学病院は入院患者の数がとても多いく、病棟には毎日入院患者がやってきます。
病棟に上がってきた入院患者に対して1人の看護師がついて、業務時間内にオリエンテーション、アナムネ聴取、採血や尿検査、看護計画の立案や同意書の説明などの仕事をこなします。
たまに手術前日に入院する方もいて、その場合は手術準備もしなければなりません。
自分の担当患者への看護だけではなく入院患者の対応まで担当になると、その日は忙しく走り回ることになります。
大学病院によっては、医療クラークが入院オリエンテーションを担っており、少しだけ看護師の負担が少ない病院もありますよ。
大学病院は緊急入院が多い?
大学病院の外来には、定期的に通院している患者の中でも「今日から入院してください」と言われる場合や、症状が悪く救急を受診した後に即日入院となる場合があります。
それが日勤帯で看護師が多い時間帯だけとは限らず、勤務帯をまたぐ時間帯や夜勤時であっても緊急入院になることも。
病棟の病室に空きがある場合は、緊急入院が多くなります。
そうなると病棟はバタバタと忙しくなり、スタッフ全員で協力して緊急入院の患者対応を行います。
日によっては2人、3人と入院が続き、残業となることもよくあります。
大学病院は急変患者が多い
大学病院に入院する患者は、重症者やいつ急変してもおかしくない病態の患者が多く入院しています。
自分の配属先にもよりますが、忙しい病棟では急変患者が多く、毎日緊張感をもちながら仕事をすることになります。
とくに、ICUやHCUのような高度医療が必要な患者は、状態が変化しやすい。
一般病棟でも人工呼吸器を装着した患者や血液データ(白血球や血小板など)が悪い患者、手術後の患者は急変する危険があるので、1人の看護師がモニターを頻繁にチェックし、正確に医師に伝える必要があります。
何も予兆がない患者でも、いきなり状態悪化する場合があるのが大学病院です。
常に気を張り詰めているため、心身ともに疲れてしまいます。
研究や学会が多い
大学病院は珍しい疾患や特殊な治療が行われ、研究や論文として発表されることが多い。
それは医師だけとは限らず、看護師でも同様。
特に、各都道府県にある看護協会が主催する学会やセミナーには必ず参加しなければなりません
看護師の中には、学会でポスター発表や院内で全職員の前で研究発表をすることもあります。
勉強のために学会に参加したり自分が研究をしたりと看護師業務以外にも取り組むことがあり、その時期は非常に多忙となります。
新人時代にあまり役割は回ってきませんが、2年目や中堅になると1年通して研究し、院内発表会に出るという任務がくる場合があるので、それが精神的な負担になる人もいます。
病棟内での勉強会やカンファレンスが多い
大学病院は病棟内での勉強会やカンファレンスが毎月あります。
わたしの勤めていた大学病院では毎週、病棟医師や製薬会社、ME(臨床工学技士)、栄養士など様々な職種の方からの勉強会を開催していました。
また毎月定例カンファレンスを行い、その後は看護師同士での勉強会がありました。
これらはどれも業務時間外に行われており、休みの人や夜勤あけでも出席することが義務。
日勤の場合は、勉強会やカンファレンスが終わってから残務をしなければならない上に、残業が許されないので、必死に仕事をしなければいけません
手術件数や重症患者が多い
大学病院には、簡単な手術から難しい手術まで様々。
ですが、とくに重症患者や高リスク患者の手術件数が多いです。
配属された病棟にもよりますが、診療科によって週の手術曜日は決まっています。
わたしが配属された病棟は、4つの診療科の混合病棟でした。
そのため、それぞれに手術曜日があったので毎日手術日でした。
1日に8件の手術が行われることもあったり、人工呼吸器や5~6個ものシリンジポンプの管理などが必要だったり、10時間以上にも及ぶ手術時間だったりと、件数だけではなく重症度が高い手術も多いのです。
そのため、毎日が戦場のようにバタバタしています。
朝一番で手術に送り出しては迎えに行き、次の患者を手術に送り出し。
忙しいときこそインシデントには注意が必要で、日勤帯が終わるころにはスタッフ全員が疲れ果ててしまいます。
看護学生の実習が多く業務外の仕事が増える
大学病院は研修医や看護学生への教育の現場でもあります。
日頃の看護業務をこなし、入院や手術の患者対応をしながら、看護学生に経験させたり指導したりしなければなりません。
とくに中堅看護師に看護学生がつくことが多いです。
病棟の中で中堅看護師が業務が一番多忙であり、任される仕事も面倒なことが多い。
その上で看護学生のために1日の行動計画を変更する必要もあり、実習記録の添削やコメント記載など業務外の仕事が増えてクタクタになります。
未来の看護師を育てるためには必要なことですが、業務が終わらず時にはイライラしてしまうことも。
ただ、患者対応や看護技術などは看護学生から注視されているので、手本となるように看護をしなけれなりません。
大学病院から転職をかんがえるのなら
前項でお話したように、大学病院で働く看護師はお昼時間もゆっくり取れないほど忙しい毎日を過ごしています。
看護の業務自体が多忙であったり、業務以外のことでもやらなければならない事がたくさんあったりと、自分の時間がほとんどありません。
そんな働き方を長く続けていると、少しずつ心身に不調を来してしまう看護師が多くいます。
大学病院での経験は他の病院ではできないことがたくさんあり、看護師としてスキルアップするために働き続けることは良いでしょう。
でも身体を壊し、メンタルヘルスに不調を来してしまうと、その後看護師として仕事ができないほどの症状まで悪化するケースもあります。
少しでも大学病院で働くことに疲れてしまった場合は、転職することも1つの方法です。
大学病院での経験は必ず他の職場でも役に立ちます。
看護師転職サイトを使うことでより効率的に自分の条件に合った職場に転職することが可能となります
まとめ
大学病院では学べることが多いのでスキルアップすることはできます。
それでも大学病院で働く看護師は忙しいため、何か目標がない限り長く続けることは心身的に厳しい。
そのため、転職したくなる看護師が多いです。
どんな働き方や看護がしたいのか改めて考え直して、自分に適した職場を求めて転職をすることも看護師にとって大事なことだと言えるでしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。