看護の現場でよく耳にする「正論」。
でも、その正論が必ずしも正しく受け入れられるわけではないと感じたことはありませんか?
言葉は内容だけでなく、言い方やタイミングによって相手にどう受け取られるかが大きく変わります。
特に、職場のお局様による「正論攻撃」によって、現場の雰囲気が悪化したり、モチベーションが下がったりした経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
今回は「正論は正しいとは限らない」理由と、その裏に潜む課題について一緒に考えてみたいと思います。
「正論だから何?」――言葉は内容だけではない
「言い方がキツいけど、言っていることは正しいよね」というセリフ、耳にしたことがありませんか?
正直、この言葉を聞くたびにイラっとするのは私だけではないはずです!
たとえ内容が正しいとしても、その伝え方やタイミング、表情によって受け取る側の印象は大きく異なります。
看護の現場では、相手を傷つけるような言い方をしておいて「私、間違ったこと言ってる?」と開き直る人もいますが、それこそが大問題です。
言葉は凶器になることがあります。
たとえ正論であっても、相手の心に刃を突き立てるような言い方をしてしまえば、それはただの攻撃にすぎません。
例えば、ミスを指摘する場面でも、ただ「これが間違っている」と伝えるのと、「どうしてこんな簡単なこともできないの?」と責めるのでは、全く意味が異なります。
正しい内容だからといって、どんな言い方をしても許されるわけではありません。
看護師として、私たちは患者さんに接遇や丁寧な言葉遣いを求められます。
それなのに、同僚や後輩への言い方がぞんざいになるのは、職場内の大きな矛盾だと感じませんか?
お局様の「正論攻撃」はなぜ生まれるのか?
お局様と言われる存在がなぜ正論を武器にするのでしょうか。
それにはいくつかの理由が考えられます。
まず、看護師として長く働いてきた経験から「自分が正しい」という確信が強くなり、それが他人を指導する際にもそのまま出てしまうということ。
そして、「正しいことを言えば相手も納得するはず」という思い込みが根底にあるのです。
しかし、問題はその「正論」が正しく伝わらないことにあります。
たとえば、新人がミスをしてしまった際に、「これ、何度も言ってるよね?」「どうしてまだできないの?」と強い言葉で責めることがあります。
言われた方は「どうせ何を言っても怒られる」と感じ、委縮するだけでなく、次の行動にも支障をきたし結果的にミスが続いたり、職場の雰囲気が悪化するのです。
お局様自身も、その態度がパワハラになっていることに気づいていない場合が多いです。
「私は正しいことを言っているだけ」「自分もこうやって教わってきた」と自己正当化してしまうため、問題が長期化する傾向があります。
正しいことを言うならば、それをどう伝えるかを考える必要があるのです。
言い方が9割――なぜ伝え方が重要なのか
看護の現場で感じるのは、正しいことを言うこと以上に「どう伝えるか」が重要だということ!
例えば、新人が注射の手技をミスした場合、「これじゃ患者さんが危ないよ」と強い口調で言われるのと、「ここはこうしたほうがもっと安全にできるよ」とアドバイスされるのでは、新人が受け取る印象は全く違います。
言い方が優しいからといって、ミスが許されるわけではありませんが、相手にとって前向きに受け取れる伝え方を心がけることで、学びの意欲や改善のモチベーションが生まれるのです。
それを無視して正論を押し付ければ、相手の心を閉ざす結果にしかなりません。
また、看護の現場は常に忙しく、緊迫した状況が続くことも多いです。
そんな中で、言葉が棘のように感じられると、それがチーム全体の士気に影響することも少なくありません。
言葉の力を信じて、相手がどう受け取るかを考えながらコミュニケーションを取ることが、より良い職場環境を作る第一歩となるのです。
正論を振りかざす人の「想像力欠如」
「正しいことを言っているから大丈夫」という人に欠けているのは、想像力。
相手がその言葉をどう受け取るか、どのような気持ちになるかを考える力が不足しているのです。
看護の現場では、患者さんに寄り添う姿勢が求められます。
それと同じように、同僚や後輩にも寄り添う姿勢が必要なのではないでしょうか?
「正論だから何を言ってもいい」という態度は、職場での信頼関係を壊すだけでなく、自分の評価を下げる結果にもつながります。
例えば、「あなた、何年目なの?こんなこともまだできないの?」と言われたらどうでしょうか。
内容が正しいとしても、その言い方によって相手は反発心を抱き、結果的に建設的な話し合いにはなりません。
正しいことを言うだけではなく、「どう言えば相手が行動を変えられるか」を考えることが大切です。
職場でのパワハラと「正論」の関係
正論を振りかざす人が最も陥りやすいのが、パワハラの問題。
「自分は正しいことを言っているからパワハラではない」と主張する人もいますが、それは大きな勘違いです。
どんなに正しいことを言っていても、その言葉が相手を傷つけたり、萎縮させたりするのであれば、それは立派なパワハラに該当します。
特に、お局様による「弱い立場の人への正論攻撃」は、看護の現場で見られる典型的なパワハラの形です。
例えば、新人や若手に対して、必要以上に細かい指摘を繰り返したり、「こんなこともできないなんて看護師失格だ」と言い放つことは、相手の尊厳を傷つける行為。
看護師として、患者さんだけでなく、職場の仲間にも優しさと敬意を持って接するべきではないでしょうか。
正しいことを言うことと、人としての接し方を考えることは、どちらも同じくらい重要なのです。
正しいことを言うだけなら誰でもできる――北風と太陽の教訓
「北風と太陽」の話をご存知でしょうか?
北風が一生懸命に風を吹き付けても、旅人のコートは脱げませんでしたが、太陽が暖かく照らすと、旅人は自然とコートを脱いだこの話は、看護の現場にも通じる教訓を与えてくれます。
正しいことをただ押し付けるだけでは、人の行動は変わりません。
それどころか、反発心を招き、結果的に問題が解決しないまま終わってしまうことが多いのです。
相手の立場に立ち、どう伝えれば納得して行動を変えてくれるのかを考えることが、リーダーや先輩としての役割ではないでしょうか。
まとめ
正論は必ずしも正しいとは限りません。
その言い方やタイミング、相手の気持ちを考えた上で初めて「正しい」と言えるのです。
看護師として、私たちは患者さんにも職場の仲間にも丁寧な接し方を心がけるべきです。
それにしても、お局様の「私は正しい」攻撃、いい加減にしてほしいものですね。
正しいことを言えるのなら、その伝え方も勉強してほしいと思いませんか?私たちが働きやすい職場を作るために、お局様に振り回されない自分自身の軸を持ちたいものです。
最後に一言、「正しいことを言えば何でも許されるわけじゃない!」と言いたいですね。