看護師 働き方改革 関係ない

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「働き方改革」という言葉を耳にして、看護師である皆さんはどんな印象を持っていますか?

私はこの言葉を聞くたびに、「それ、本当に私たちの現場にも当てはまるの?」と思わず疑問を抱いてしまいます。

 

残業を減らし、休憩を確保し、仕事とプライベートのバランスを保つ——

そんな理想的な働き方改革は、少なくとも私の周りでは実現していません。

むしろ、改革の名の下に新しい負担が増えているようにすら感じます。

 

今回は、看護師の働き方改革がいかに実感を伴っていないか、その現状を深掘りしていきます。

 

看護師にとって「働き方改革」とは本当に存在するのか?

 

働き方改革は、日本全体で働く環境を見直し、労働者の負担を軽減しようとする取り組みです。

しかし、看護師にとってこの「改革」が何か具体的に変わったのかと問われると、首を傾げる人も多いのではないでしょうか。

 

例えば、看護師の業務は24時間体制のシフト制で、日勤・夜勤を繰り返しながら患者さんの命を守っています。

働き方改革で掲げられている「残業削減」や「休憩時間の確保」などの目標は、現場では実現しづらいのが現実。

特に夜勤では、少人数で多くの患者さんをケアしなければならず、患者さんの状態が悪化すれば休憩どころかトイレに行く時間さえ取れないこともあります。

 

さらに、働き方改革の名目で「業務の効率化」が進められることもありますが、それが実際には「新しいルールやシステムの導入」によって、看護師の負担が増えているケースも少なくありません。

例えば、新しい電子カルテや業務管理ツールの導入が現場に強いられると、習得の時間が必要になり、その間の負担はむしろ増加します。

 

働き方改革とは、現場の看護師にとって「絵に描いた餅」に過ぎないのではないかと感じることが多々あります。

 

 

 

「7対1」配置基準と現場の矛盾

 

看護師の労働環境を考えるうえで欠かせないのが、患者さんと看護師の比率を定めた「7対1」や「10対1」といった配置基準。

働き方改革の影響で、配置基準に基づいた人員配置が重要視されるようになりましたが、この制度が現場で本当に意味をなしているかといえば、疑問を感じます。

 

「7対1」というのは、一見、看護師にとって手厚い配置のように思えるかもしれません。

しかし、この比率は病院全体の統計に基づくもので、実際に病棟で患者さんをケアする看護師の人数とは一致しません。

急性期病棟や集中治療室のように、特に患者さんのケアが必要な部署では、常に人手不足の状態。

働き方改革が進んだことで、「配置基準が満たされている」と病院側は主張しますが、それはあくまで制度上の話。

実際には急患対応やナースコールの嵐の中で、少ない人員で業務を回さざるを得ない状況が続いています。

 

現場の実態にそぐわない基準が「改革」として掲げられている限り、看護師の負担が軽減されることはありません。

 

 

 

多職種連携は働き方改革の「罠」

 

働き方改革の一環として、多職種間の連携を強化する取り組みが推奨されています。

しかし、この「連携」が現場にとって必ずしもプラスに働くわけではありません。

特に、医師や薬剤師との連携がうまくいかない場合、看護師がその調整役を担わなければならず、業務負担が増えるケースもあります。

 

例えば、薬剤師が医師に確認すべき内容を、看護師が一度受け取り、医師に伝える役割を果たしている場面はありませんか?

これでは連携ではなく、単に看護師が橋渡しの負担を押し付けられているだけです。

 

また、医師が直接患者さんに説明すべき内容を看護師が代わりに伝えるケースも増え、患者さんからの質問や不安に対応する時間が増えているのが現状です。

多職種連携が現場の効率を上げるためのものであるはずなのに、看護師の業務を増やしてしまっている点には、大きな矛盾を感じます。

 

このような連携は、働き方改革の本質とはかけ離れていると言わざるを得ません。

 

 

 

残業削減の代償:サービス残業と時間内業務のプレッシャー

 

働き方改革の目標の一つとして、「残業の削減」が挙げられます。

これ自体は歓迎すべき取り組みですが、現場での実施方法には大きな課題があります。

 

特に、「残業をしないように」という指示が、現場の看護師にプレッシャーを与えているケースがあります。

例えば、「残業禁止」の方針が徹底されると、定時でタイムカードを押すよう指示され、その後も記録や片付けを続けなければならない状況が生じます。

結果として、表向きは残業が減ったように見えても、実際にはサービス残業が増えるだけです。

働き方改革によって残業代のカットが進み、看護師の負担が増えるという本末転倒な事態に陥っている施設もあります。

 

また、残業ができないとなると、限られた時間内で全ての業務を終わらせる必要があり、そのプレッシャーは計り知れません。

特に急患対応や突発的な出来事が多い現場では、時間内に終わらせることがほぼ不可能な場合も多く、看護師たちは板挟みの状態に陥っています。

 

 

 

夜勤明けの負担は軽減されたのか?

 

働き方改革の話題になると、夜勤の負担についても議論されることがあります。

しかし、現場での夜勤の負担が軽減されたと実感している看護師はどれほどいるでしょうか?

夜勤では少人数で多くの患者さんを担当するため、一晩中動き回るのが普通です。

 

さらに、朝の申し送りや記録作業が長引けば、昼近くまで病院に残らなければならないことも珍しくありません。

働き方改革が進んだとされる病院でも、夜勤明けの負担が軽減されたという話を耳にすることはほとんどありません。

むしろ、「夜勤の人手を減らして効率化を図る」という名目で、看護師一人当たりの負担が増えたというケースもあります。

 

これでは、働き方改革が看護師にとって実質的な改善をもたらしたとは言えません。

 

 

 

まとめ

 

結論として、働き方改革は看護師の現場では未だに実感を伴わないものが多いと言えます。

制度上の変更や効率化が進められる一方で、現場での負担はむしろ増えていることが多く、看護師たちが本当に必要としている改善には手が届いていないのが現状です。

「働き方改革」という言葉が形骸化しないようにするためには、現場の声をもっと反映させ、看護師が安心して働ける環境を作ることが欠かせません。

現場の実態を無視した改革では、結局のところ「改革なんて絵に描いた餅だよね」と愚痴が出てしまうのも無理はありません。

 

皆さんは「働き方改革」を実感できていますか?

それとも、私と同じように、「ただのスローガン」と感じていますか?

 

現場の声がもっと届く日が来ることを祈るばかりです。