
看護学生が実習先の病棟で「休憩から戻りました!午後からもよろしくお願いします!」と声をそろえて挨拶するのを見たことがあるでしょうか。
おそらく、ほとんどの看護師が目にしたことがあるはずです。
しかし、この挨拶、本当に必要なのでしょうか?
一見すると、礼儀正しく、きちんとした態度の表れのように思えます。
社会人として、職場での挨拶は重要です。
しかし、現場の看護師の反応を見ると、この挨拶があまり意味をなしていないように思えてなりません。
挨拶をしても返事をする看護師は少なく、無視されることも珍しくありません。
それならば、なぜこの挨拶を続けなければならないのでしょうか?
また、実習生にとっては、病棟の看護師の態度や指導方法に従わなければならないというプレッシャーがあります。
実習中は「学生の立場」であるため、疑問を持っていても黙って従うしかない場面が多いのです。
しかし、もしこの慣習が「意味のないもの」だとしたら、果たして続ける価値があるのでしょうか?
それとも、ただの「伝統」として続いているだけなのでしょうか?
この問題について、実習生の立場、看護師の立場、そして病棟全体の視点から詳しく掘り下げていきます。
なぜこの挨拶が求められるのか?
この「休憩から戻りました!」の挨拶は、どの病棟でもよく見られますが、なぜここまで形式的に行われるのでしょうか?
その理由を考えてみると、いくつかの要因が挙げられます。
1. 伝統として受け継がれている
看護の現場には、昔からの伝統や習慣が多く残っています。
特に、看護学校や病院実習では「挨拶がきちんとできるかどうか」が評価されることが多く、実習生の態度の一部としてチェックされることがあります。
そのため、長年にわたって「挨拶をするのが当たり前」という考え方が根付いているのかもしれません。
2. 社会人としてのマナーを学ばせるため
看護師として働く以上、挨拶は基本的なマナーのひとつです。
実習生にとっても、職場の一員として行動することが求められるため、挨拶を徹底することは重要です。
しかし、実習生が病棟の全員に向かって一斉に挨拶する必要があるのかは疑問が残ります。
3. 看護学生の態度を評価するため
病棟の看護師や指導者の中には、「挨拶の仕方で実習生の意識の高さがわかる」と考えている人もいます。
そのため、挨拶をきちんとしないと、「態度が悪い」と評価されることもあるでしょう。
4. 看護師の態度を測るバロメーターになっている
この挨拶に対する看護師の反応を見ることで、その病棟の雰囲気がわかるという側面もあります。
優しい看護師は「おかえり!」と返してくれますが、無視する看護師もいます。
この対応の差が、職場の人間関係や雰囲気を映し出しているのです。
こうした理由から、この挨拶が現在も続いているのではないでしょうか。
しかし、実際にはこの挨拶が機能しているとは言い難い場面も多いのです。
3. 看護師の対応はなぜ分かれるのか?
実際にこの挨拶をしても、反応する看護師と、完全に無視する看護師に分かれます。
その違いはどこにあるのでしょうか?
1. 余裕のある看護師は対応する
「おかえり!」「午後も頑張ってね!」と返事をする看護師は、比較的仕事に余裕があり、学生にも親しみを感じている人が多いです。
こうした看護師は、人間関係を円滑にするためのコミュニケーションを重視しています。
2. 忙しすぎると無視する
看護師の業務は非常に多忙です。
患者の処置、記録、急変対応など、やるべきことが山積みです。
そんな中で、形式的な挨拶にいちいち反応する余裕がない人もいます。
決して悪意があるわけではなく、単純に「挨拶どころではない」ということなのです。
3. 看護学生を「使えない存在」と見ている人もいる
残念ながら、「看護学生なんて戦力にならない」と考えている看護師も一定数います。
そういう人にとって、実習生の挨拶は「意味のないもの」と感じられるのでしょう。
こうした考え方は、実習生にとっては非常に辛いものですが、現場のリアルな姿でもあります。
まとめ
結論として、この挨拶は「なくても問題ない」と言えます。
むしろ、無視されることで学生のモチベーションが下がるくらいなら、やめた方がいいのではないでしょうか?
とはいえ、挨拶そのものは大切です。
何の挨拶もしない学生がいたら、それはそれで問題です。
しかし、形式的に「休憩から戻りました!」と声をそろえて言うことが、本当に必要なのかどうかは、改めて考えるべきだと思います。
本当に学生のことを思うなら、「形式」ではなく、「実践的な学び」に集中できる環境を整えることが大切です。
そして、看護師側も、せっかく挨拶をしてくれる学生に対して、少しでも温かい対応ができるような環境を作っていくべきではないでしょうか?
それにしても、無視されることが前提の挨拶って、一体誰が始めたんでしょうね?