
「看護師は向いてない」「辞めたい」と感じる人が多いのに、なぜいまだに人気のある職業なのか?
これは、多くの人が看護師に抱くイメージと現実のギャップに原因があると思います。
テレビドラマや漫画などで描かれる看護師の姿は、実際の仕事とは大きく異なります。
多くの人が、看護師を「医師のサポートをしながら患者さんに優しく寄り添う職業」だと考えていますが、実際には排泄介助、陰洗、痰の吸引、体位変換、急変対応など、想像以上に体力的・精神的に過酷な業務が待っています。
看護学生になって初めて、そういった業務があることを知る人も多く、「こんな仕事だと思わなかった」とギャップを感じることが多いのです。
また、憧れや若さから「自分なら大丈夫」「人の役に立ちたい」と思い、深く考えずに目指す人もいます。
さらに、親世代にとっても看護師は「資格職=安定」というイメージがあり、「食いっぱぐれない仕事だから」と進められてなる人も多いです。
しかし、実際に働き始めると、長時間労働、人手不足、理不尽な指導、夜勤の負担、給与の低さなどが現実としてのしかかり、「思っていたのと違う」「こんなに大変なら辞めたい」と思う人が続出します。
それでも看護師が人気なのは、「国家資格があることで転職しやすい」「ブランクがあっても復帰できる」「夜勤をすればそれなりの給料になる」などのメリットがあるからです。
しかし、その安定性の裏には過酷な労働環境があり、「安定している=働きやすい」というわけではありません。
では、なぜここまで現実と理想のギャップが大きく、それでも多くの人が看護師を目指すのか?実際に看護師として働く視点から、その理由を掘り下げていきたいと思います。
看護師への憧れと現実のギャップ
看護師を目指す理由として多いのが、「人の役に立ちたい」「医療の現場で働きたい」という憧れです。
ドラマや漫画では、看護師が医師と連携して命を救ったり、患者さんと心温まる交流をしたりするシーンがよく描かれます。
その影響で、「自分もあんな風に人の役に立てる仕事がしたい!」と考える人は少なくありません。
しかし、実際の現場は理想とはかけ離れています。
患者さんに優しく寄り添う時間よりも、業務に追われる時間の方が圧倒的に多いのが現実です。
バイタルサイン測定、点滴管理、投薬、記録業務、検査の付き添い、体位変換、食事介助、排泄介助、入浴介助…こうしたルーチン業務の合間に、急変対応やクレーム対応などの突発的な仕事が飛び込んできます。
また、夜勤では少人数で多くの患者さんを受け持ち、仮眠時間もほとんど取れないまま朝を迎えることもザラです。
「こんなはずじゃなかった」「思っていた看護師像と違う」と感じるのも無理はありません。
資格の強みと親の期待
看護師は国家資格のため、安定した職業だと見なされがちです。
特に親世代は「資格があれば食いっぱぐれない」「女性でも手に職を持てる」と考え、子どもに勧めることが多いです。
そのため、「特にやりたいことがなかったから」「親に勧められたから」という理由で看護師を目指す人も多くいます。
確かに、看護師の資格は強みです。病院だけでなく、クリニック、介護施設、企業の医務室、保健センターなど、さまざまな職場で働けます。
ブランクがあっても復帰しやすく、転職先に困ることも少ないのは事実です。
しかし、「資格があるから」と軽い気持ちで入ると、過酷な現場に耐えられず、辞めたくなることも多いのです。
給料と労働環境の矛盾
看護師は「給料が良い」と思われがちですが、実際には労働の割に見合っていないと感じる人が多いです。
夜勤をすればそれなりに稼げますが、その分生活リズムが崩れ、心身ともに負担が大きくなります。
また、基本給が低く、手当でかさ増しされているケースも多いため、夜勤をしないと給与が大幅に下がることもあります。
「思ったより給料が安い」「これだけ働いてこの程度か」と感じる看護師は少なくありません。
特に地方では、都市部に比べて給与水準が低く、モチベーションが維持できなくなる人も多いです。
教育体制が古く、時代に合っていない
看護師の教育体制は、昭和の時代から大きく変わっていない部分が多く、現在の労働環境や価値観と合わなくなっています。
新人教育では厳しい指導や理不尽なルールが残っていることもあり、パワハラやいじめが問題になることもあります。
また、仕事量が多く、精神的・肉体的に追い詰められやすいため、「教育のため」と称して厳しい指導が続けられています。
その結果、若い看護師がどんどん辞めていき、「当たりが出るまで転職する」状態になってしまっています。
まとめ
看護師は資格職としての強みや安定性があるため人気の職業ですが、現実は厳しく、ギャップに苦しむ人が多いです。
憧れや親の期待で目指したものの、過酷な労働環境に耐えられず、辞めたいと感じる人も少なくありません。
給与も労働に見合っているとは言い難く、特に地方では「こんなに働いてこの給料?」と不満を持つ人が多いです。
それでも続けられるのは、「資格があれば転職しやすい」「ブランクがあっても復帰できる」というメリットがあるからでしょう。
正直、私自身も「高校生に戻れるなら、絶対に看護師を選ばない」と思うことがあります。
でも、辞めるにしても転職先の選択肢が少ない…このジレンマが、看護師という職業の現実なのかもしれません。