本記事をご覧の皆さんは「病院ヒエラルキー」という言葉をご存知でしょうか?
病院ヒエラルキーとは病院内の職業内での階層差別を指しています。
病院内において、トップに位置するのは花形である医師です。そしてその下が看護師、そして看護助手や各セラピスト、コメディカル含む事務の方々へと続いていきます。
ヒエラルキーの上から順に給料が高く、下の階層になればなるほど給料や待遇面は悪化していきます。
これは病院という閉鎖された空間だからこそ起きるシステムともいえるでしょう。
そして本記事で取り上げたいのは「看護師間でのヒエラルキー」についてです。
ヒエラルキーの語源やなぜ生まれたのか、また看護師間でのヒエラルキーとはどのようなものなのか、詳しく解説していきます。
ぜひ最後までお読みください。
ヒエラルキーとは
ヒエラルキーとは、「階級別」や「階層制」といった意味をもち、ピラミッドのように上から層になった組織を表しています。
ピラミッドの一番上の部分が最も権力があり、下にいけばいくほど権力や力はなくなっていくという、「序列化」されたシステムともいえるでしょう。
もともとヒエラルキーとはカトリックに関する宗教用語で、聖職政治や聖職階級を意味していたようです。
似た単語としてカーストという言葉があります。
このカーストを利用した「スクールカースト」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
これは容姿やコミュニケーション能力に優れた人やグループがピラミッドの頂点に立ち、それに反して、目立たない物静かなタイプが下層になるというものです。
外との交流が薄い空間や場所で起こりやすく、学校だけでなく病院や会社といった閉鎖された社会でもこのような構図は認められます。
看護師間でのヒエラルキーはあるのか?
病院ヒエラルキーについては冒頭でご説明しましたね。
では看護師間でのヒエラルキーはあるのでしょうか?
答えは「はい」です。
全ての職場でとは言いませんが、少なからず存在しています。
皆さんは看護師として働く中で、必ず専門学校や大学に入学し、国家試験に合格して資格を取得しているはずです。
看護師間でのヒエラルキーとは、この専門学校卒か、大学卒かという部分によるのです。
以前派遣で働いていた際に、年上の看護師から聞いた話をご紹介しますね。
その方は専門学校を卒業していたため、看護師間のヒエラルキーによって病院勤務を嫌になり退職したそうです。
その方が言うには、例えば同じ病院内に、専門学校を卒業し資格を取得した看護師と、大学を卒業し資格を取得した看護師の両名がいる場合、専門学校を卒業した看護師は下に見られがちだったそうです。
もちろん同じ看護師資格ではありますが、大学卒業の方が勉強の時間や看護研究にも取り組んでいますので、専門学校卒業よりも勉強しているという自負があったのでしょう。
専門学校卒業だったその方は、影でコソコソと言われたり、自分の意見がほとんど参考にされなかったりするなど、かなりストレスの溜まる職場だったようです。
最終的に病院を退職し、施設看護師へ転職したことで、看護師ヒエラルキーからも解放され、気楽に働くことができるようになったと話していました。
このように同じ看護師という職種であっても、看護師の取得方法に違いがあると、看護師ヒエラルキーが見られるところもあるようです。
幸い、私は体験したことはありませんが、同じ職業にも関わらずいがみ合うような、ヒエラルキーのシステムは嫌ですね。
これが准看護師ともなると、さらに悪化していきそうで怖いです。
看護師にヒエラルキーが必要なのか?
看護師間のヒエラルキーについて解説してきました。
・看護師間のヒエラルキーとは専門学卒と大学卒の看護師間で起こる
・大学卒の看護師の方がヒエラルキーでは上の立場にいる
このような看護師間のヒエラルキーに関わらず、ヒエラルキーで明確に身分や立場が決められてしまうのは差別につながりやすいとも思います。
しかし大企業やさまざまな場所でヒエラルキー制度は取られています。
時として、ヒエラルキーがあったほうが都合のいい場合があるのです。
この章ではヒエラルキーがなぜ必要なのか、ヒエラルキー制度のメリットについてお伝えしていきます。
ヒエラルキーのメリット
ヒエラルキー制度のメリットには以下の2つがあります。
・単純明快な指示系統
・責任が明確
一つずつ解説していきましょう。
単純な指示系統
ヒエラルキー制度はピラミッド状になっているため、トップからの指示が下層に行き渡りやすいというメリットがあります。
このため指示系統の流れや指示の内容も伝わりやすく、それぞれの役割を認識しやすいことにもつながります。
責任が明確
ヒエラルキー制度はトップからの指示によって下にまで命令が届きやすいというだけでなく、組織や役割ごとに、どこに責任があるのかが判明しやすいというメリットもあります。
そのため、企業全体での管理もしやすく、責任の有無が明確なのです。
もちろん病院内でも同じことが言えます。
例えば、看護師長が出した指示に対し、何かしらの事例によって達成不可だった場合、達成不可だった理由はどこにあるのかを検討しますよね。
指示内容は達成可能な指示だったのか
指示内容に間違いはなかったか
指示を達成できるだけの人員や資源はあったのか
など。
そもそもの大元の責任は指示を出した看護部長にあるわけですが、指示のどこに問題があったのかも解明しやすく、物事を簡単にできます。
看護師にヒエラルキーが無い場合のデメリット
ヒエラルキー制度の最大のデメリットに「組織の硬直化」があります。
ヒエラルキー制度を利用している企業や団体では、組織ごとに機能が定められているため、その組織ごとでしか物事を考えることができません。
結果として、広い視野を持つことができなくなり、柔軟性に欠けてしまうのです。
またよくありがちなのが、「下からの意見が通りにくい」というものです。
皆さんも経験したことがあるのではないでしょうか。
病院の一般病棟に勤めていて、病棟は人員が足らず、毎日看護師は疲労困憊。
上層部に看護師の補充を依頼しても、なかなか通らず一向に補充されない。
これはまさしく下からの意見が通らない状況で、ヒエラルキー制度のデメリットともいえるのではないでしょうか。
こうなるとその組織に在籍することに対して魅力を失い、在籍者の仕事に対しての意欲を減退させ、チャレンジ精神はどんどん失われていきます。
そればかりか離職者も増加させてしまう要因となるでしょう。
まとめ
ヒエラルキーという言葉や、病院内・看護師間でのヒエラルキーについて解説してきました。
・ヒエラルキーとは階級別や階層制といった意味をもち、ピラミッドのように上から層になった組織を表している
・看護師間のヒエラルキーは大学卒業の方が上で専門学校卒を下に見ている
・ヒエラルキーのメリットは「単純明快な指示系統」と「責任が明確」なことにある
・ヒエラルキーのデメリットは「組織の硬直化」と「下からの意見が通りにくい」ということがある。
同じ環境で働く中で、時に不都合が生じるヒエラルキー制度。
効率よく働くためには必要な制度なのかもしれませんが、そういったシステムは逆に組織に対する愛着や義務を失わせていく要因になるかもしれません。
せっかく働くなら気持ちよく働くために、ヒエラルキーを活用していきたいですよね。
最後までお読みいただきありがとうございました。