看護師という仕事は社会的な意義が高く、多くの人から感謝される職業ですが、その裏では勤務表に生活を完全に支配され、仕事とプライベートの境界が曖昧になるという課題があります。
勤務表を見て「あれ、私の生活は病院中心に回っているのでは?」と思ったことはありませんか?
実際、看護師として働く日々の中で、仕事から完全に解放されることはほとんどありません。
今回は、勤務表と私生活の関係性や、看護師が感じる精神的・肉体的な負担について、現場での経験を交えながら掘り下げていきます。
ナースコールが聞こえた気がして飛び起きる日々
夜勤明けに帰宅し、やっと布団に潜り込んで眠るときの安心感。
これを楽しみにしている看護師は多いと思います。
しかし、夜中に「ピンポーン」とナースコールの音が聞こえた気がして目が覚めることが頻繁にあります。
もちろん現実ではなく夢や幻聴なのですが、心臓がドキドキして眠り直すまで時間がかかることも。
私も過去に、夜勤明けで家に帰ったその夜、ナースコールの音が聞こえた気がして飛び起きたことが何度もありました。
この経験は看護師なら一度はあるのではないでしょうか。
それほど、仕事の緊張感が日常生活に浸透してしまっているのです。
「休めるはずの時間」にも心が解放されない状況は、看護師という仕事の特殊性を物語っています。
病院からの電話に怯えるオフの日
勤務がない日は「休み」と言いたいところですが、病院からの電話がかかってくる可能性があるため、完全にはリラックスできません。
私は以前、休みの日に病院から電話がかかってきて、「昨日の記録に誤りがあるので確認してほしい」と言われたことがあります。
疲れが取れない中で再び仕事の内容を振り返る作業をするのは非常にストレスフルで、その日はせっかくの休みが台無しになりました。
このように、勤務表上は「休み」であっても、実質的には病院の延長線上にあるのが現実です。
特に病棟勤務では、突発的な呼び出しや急患対応があるため、休日でも安心して過ごせることが少ないです。
夜勤明けなのにまた病院へ?
夜勤明けの帰り道で急病人を見つけると、看護師としてはどうしても無視できません。
その場で応急処置を行い、救急車の手配をすることもあります。
これ自体は看護師として当然の対応ですが、帰宅が遅くなり体力がさらに消耗する結果となります。
また、帰宅後に病院から「さっきの対応について報告をお願いしたい」と電話が入ることもあります。
体はクタクタで、早く休みたいと思っているのに、再び仕事に戻された気分になります。
このような「看護師24時間営業」と言える状況が当たり前のようになっているのが現状です。
勤務表に人生を奪われる感覚
勤務表を見て思うのは、「私の生活は病院に合わせて組み立てられているのではないか?」という感覚。
夜勤明けに日勤が続く勤務パターンや、休日と見せかけて夜勤明けが含まれる「偽の連休」が繰り返されると、生活に計画性を持つことが難しくなります。
さらに、プライベートの時間も仕事のために削られがちです。
例えば、看護のスキル向上やミスを減らすために、家で自主的に勉強することも多いです。
看護師の仕事は日々の成長が求められる職業ですが、これによりオフの時間も仕事の一部となり、結果的に「仕事中心の生活」から抜け出せなくなるのです。
「暗黙の了解」がブラックな働き方を作る
看護師の働き方には「暗黙の了解」とされるルールが多いです。
例えば、「夜勤明けにすぐ日勤が入るのは仕方ない」「休みの日でも病院からの連絡には応じるべき」といった考え方です。
私が働いていた職場でも、上司が「看護師は生活の中心が病院であるべき」と冗談めかして言っていましたが、それが現実になっていると感じます。
このような状況が続くと、看護師たちは自分たちの働き方に疑問を抱きつつも、声を上げられなくなります。そして、勤務表に縛られた生活を「仕方がない」と諦めてしまうのです。
看護師の「勤務表改革」が必要
勤務表を見直し、スタッフが私生活をもっと楽しめる環境を作ることが急務!
具体的には、夜勤明けには十分な休息を確保すること、連続勤務を避けること、そして病院が休みの日のスタッフに過度な連絡を取らないようにすることが挙げられます。
また、看護師自身が仕事とプライベートを切り分ける努力も必要。
例えば、休みの日には電話をオフにする、趣味やリフレッシュの時間を積極的に作るなど、自分を守る工夫が求められます。
まとめ
正直に言うと、「こんな働き方、いつまで続けられるの?」という疑問が頭をよぎる日も多いです。
勤務表を見ただけで憂鬱になり、「また夜勤明けに日勤が入っている」と感じるたびにモチベーションが下がります。
これでは、患者に最善のケアを提供するどころか、自分自身が心身ともに疲れ切ってしまいます。
勤務表は確かに業務を円滑に進めるための道具ですが、それがスタッフの人生を縛るものであってはなりません。
私たち看護師も人間です。もっと自分の生活を楽しむための余裕が欲しいです。
看護師の働き方にはまだ多くの課題が残されています。
しかし、一人ひとりが声を上げ、改善に向けて行動することで、少しずつ変化を起こせるはずです。
「自宅でナースコール」を聞かなくても済むような日常を取り戻すために、まずは自分たちの意識改革から始めていきましょう。
そして、職場全体で働き方を見直す努力を続けることが、より良い未来につながるのではないでしょうか。