処置 一回見ただけ 覚える

看護師 免許証 資格 白衣の探偵

 

看護師の仕事は、命を預かる責任感の重い仕事です。

高い専門性が求められる現場では、経験を積み重ねてスキルを習得していくことが不可欠です。

 

しかし、現実には「処置は1回見たら覚えろ」といった無茶な要求をされることが少なくありません。

結論を言えば、処置を1回見ただけで完璧に覚えるのは不可能。

人間は失敗や反復練習を通じて技術を身につけていくものです。

それを無視して「1回で覚えろ」と指導するのは、ただの理不尽でしかありません。

 

この記事では、現場での無理難題な指導の背景、処置を覚えるための具体的な対策、そして理不尽な環境への向き合い方について詳しく解説していきます。

 

処置を1回で覚えるのは無理!知識と実践は別物

 

看護師の処置は、単なる知識ではなく「実践」が伴う技術です。

そのため、いくら一度見ただけで手順を頭で理解したとしても、実際に自分の手で行おうとすると、思うようにいかないことがほとんどです。

 

例えば、採血や点滴の手技を例に挙げると、教科書や動画で見たことがあったとしても、患者さんの腕を目の前にした瞬間に緊張してしまい、手順が飛んでしまったり、角度や力加減が掴めなかったりすることがあります。

私も新人の頃、採血の練習中に手が震えてしまい、先輩から「落ち着いて」と何度も声をかけられたことを覚えています。

 

看護技術は、頭の中だけでは身につきません。

手を動かし、体で覚えることが大切です。

新人や経験の浅い看護師に対して「1回見ただけでやってみて」というのは、無理な話。

 

むしろ、「何回も練習して少しずつ覚えていこう」という環境が整っていない現場では、失敗やミスが起きるリスクが高まります。

 

 

 

「見て覚えろ」はなぜ理不尽なのか?

 

多忙な医療現場では、「見て覚えろ」という言葉がよく使われますが、これは教育としては非常に非効率。

人間の記憶は、視覚だけではなく、実際に経験することで定着します。処置を見ただけで覚えることが難しい理由を以下にまとめます。

 

 脳の記憶構造には限界がある

 

人間の脳は、短期記憶と長期記憶に分かれています。

見ただけの情報は、短期記憶として一時的に保存されますが、実践や反復がない限り、すぐに忘れてしまいます。

例えば、採血の手技を一度見たとしても、次に同じ手技を行うまでに時間が空いてしまうと、ほとんどの人が細かい手順を思い出せなくなります。

 

 

処置の頻度によって記憶の定着が異なる

 

日常的に行うルーチン作業であれば自然と覚えられますが、特殊な処置や稀にしか行わない手技は、一度見ただけでは記憶に残りにくいです。

私も2週間に1回しか行わない処置があり、その度にマニュアルを確認しないと不安でした。

 

 

プレッシャーが集中力を低下させる

 

「1回で覚えろ」と言われるプレッシャーは、学習意欲を削ぎ、集中力を低下させます。

新人の頃、指導者から「次は1人でやってね」と言われるだけで、頭が真っ白になった経験が何度もあります。

このような環境では、技術を習得するどころか、精神的な負担だけが増してしまいます。

 

 

 

指導者の側にも問題がある

 

「1回で覚えろ」という文化は、指導する側の問題でもあります。

以下のような要因が挙げられます。

 

  •  時間がない

医療現場の多忙さから、じっくりと教える時間が確保できない場合があります。

そのため、指導者が「とりあえず見て覚えて」という雑な教え方になりがちです。

 

  • 自分の経験を美化している

「私は1回で覚えた」という指導者もいますが、実際には何度も練習や失敗を繰り返して習得しているはずです。

その記憶を美化してしまい、他者にも同じレベルを求めるのは不適切です。

 

  • 教え方を知らない

医療職は「技術者」であると同時に「教育者」としての役割も求められますが、指導の方法を学んでいない場合、効率的な教え方ができません。

その結果、新人や後輩が不安やプレッシャーを感じる状況が生まれます。

 

 

 

処置を覚えるための具体的な工夫

 

「1回で覚えられない」のは当然ですが、効率的に処置を習得するために、自分自身でできる工夫をいくつか紹介します。

 

  • メモを取る

処置を見ながらメモを取るのは基本中の基本です。

使う器具、手順、注意点などを簡潔に記録し、処置後に清書してまとめることで、記憶に定着しやすくなります。

処置後すぐにメモを見返すことがポイントです。

 

  • シミュレーションを繰り返す

練習用のマネキンや同僚を相手にシミュレーションを行うことで、手技が体に馴染みます。

特に採血や点滴などの技術は、何度も手を動かすことで感覚を掴むことができます。

 

  • 動画やマニュアルを活用する

最近では、看護技術を解説した動画やオンライン教材が豊富にあります。

手技を何度も視覚的に確認することで、頭の中でのシミュレーションがしやすくなります。

 

  • 質問を躊躇しない

分からないことをそのままにしないことが重要です。

指導者や先輩に遠慮せずに質問し、曖昧な点を解消することで、自信を持って処置に臨むことができます。

 

 

 

失敗から学ぶ姿勢を持つ

 

看護の現場では「失敗は許されない」と言われがちですが、現実的には失敗を通じてしか学べないことも多いです。

もちろん、患者さんの命に関わる重大なミスを避けるために、慎重な練習と確認が必要ですが、全てを完璧にこなそうとするプレッシャーは逆効果です。

 

新人時代、私が最初に点滴を失敗した時、先輩から「誰だって最初は失敗するものだよ」と励まされました。

その言葉に救われたおかげで、次の挑戦では冷静に取り組むことができました。失敗を恐れるよりも、「どう改善できるか」を考えることが成長への鍵です。

 

 

 

無理な環境を変えるための行動

 

「1回で覚えろ」という理不尽な文化が根付いている職場では、モチベーションを保つのが難しくなることもあります。

 

もしその環境が自分にとって耐え難いものであれば、職場を変えることも一つの選択肢です。

転職や異動を通じて、指導体制が整った環境や、教育に力を入れている職場を探すことで、ストレスを軽減しながらスキルを習得できます。

看護師としてのキャリアを長く続けるためには、自分に合った環境を選ぶことが重要です。

 

 

 

まとめ

 

「処置を1回で覚えろ」という要求は、理不尽で非現実的です。

看護師は天才ではありませんが、努力と反復練習を通じて確実に成長できます。

メモを取る、シミュレーションを繰り返す、質問するなどの工夫を重ねることで、少しずつ技術を身につけることが可能です。

無理な環境や指導方針に振り回されず、自分のペースで学び続けていくことが大切です。

 

失敗を恐れず、自分に合った方法でスキルを磨いていきましょう。

そして、どうしても耐えられない環境にいる場合は、思い切って新しい職場に挑戦することも視野に入れてください。

 

私たちは天才ではありませんが、着実に努力することで患者さんの命を守れる看護師になれるのです。

愚痴を吐き出しながら、一緒に頑張りましょう!