病院で病気を治すために入院するということは誰しもあります。
それが長期であっても短期であっても、身の回りを助けてくれた看護師に対してや、治療をしてくれた医師に感謝の気持ちを抱く人も多いでしょう。
そんな気持ちを伝えるために、退院時感謝の気持ちとしてナースステーションに菓子折りなどを持ってくる患者さんも後を絶ちません。
確かに感謝の気持ちを伝える一つの礼儀でもある日本の風習とも言えますが、入院を経てナースステーションに菓子折りを持っていくというのは良いことなのでしょうか。
看護師や医師に菓子折りを持っていくことに悩んでいる人や、それは正しいのかどうか気になる人のために、患者から感謝の気持ちとしてナースステーションへ菓子折りを持っていくことはOKなのか解説していきます。
病院側は菓子折りはもらえない!?
よく企業同士でも感謝やお世話になるということに対して礼儀の一つとして菓子折りを持っていくことはあります。
もちろん人対人でもそれは盛んに行われるでしょう。
病院でも入院の際にお世話になるからと菓子折りを持ってくる人や、退院時に感謝の意を込めて菓子折りをナースステーションへ持ってくる患者も少なくありません。
菓子折りを受け取ってもらえなかったという事例も多く、患者側からすれば感謝の気持ちなのにと落ち込む人もいるでしょう
では何故受け取ってもらえないことが多くあるのか解説していきます。
トラブルを避けるため
これは渡す側に何か問題があるということではなく、もし渡した菓子折りが生ものの物だった場合、その後に食べた医療従事者が体調不良になる可能性も否めません。
このような体調を考慮したものや、患者によっては「菓子折りを渡したのに、何もやってくれない!」と揉め事の原因になることもあります。
他にも、「あの人が渡していたから、私も渡さなくてはいけないのか」と別の患者たちの重荷になってしまうこともあるでしょう。
このような周囲の目や、医療従事者と患者の間でトラブルが起きないように事前に防ぐためにも、医療費以外の物は受け取らないと決めている病院もあります。
モラルの問題
入院時などに菓子折りを受け取るという行為は金銭の受け取りではないとしても、菓子折りを受け取ったことで、自分は特別と感じてしまう患者もいます
それに金品が関係してしまうと尚のことで、治療に差が生じてしまえば、病院でお得意様だからと丁寧な看護や治療を行われる差別的な部分も見えてくるでしょう。
病院というのはそのような差別を決してしてはいけない所であり、可能な限り平等に医療を提供するという環境づくりが大切となってきます。
そのため、菓子折りや金品を受け取らないという規則を設けた病院も少なくありません。
病院によって異なる
では全ての病院や施設が菓子折りなどを受け取らないのかというと、そういうわけではありません
病院によってルールは異なるので、受け取る病院もあるでしょう。
看護師も昼休憩のお菓子として患者さんから菓子折りを受け取るとものすごく喜び、ナースステーションで食べるということもあります。
こればかりは病院によって異なり、必ずしも受け取らない、受け取るという判断ができないため、もし渡したいというのであれば、持っていても損はないでしょう。
病院の立場と患者の立場
ナースステーションに入院時などに菓子折りを持っていくことを当たり前と捉える患者もいますが、実は医療従事者側には医療従者の立場というものがあります。
それは病院側と患者という明確な立ち位置を表しており、それを崩さないためとも言えるでしょう
医療従事者側の立場とはどういうものがあるのか、医療従事者が考えている病院側と患者側の立場について解説していきます。
病院側は仕事としてやっている
病院側は患者を診るというのが仕事です。
患者として入院すると看護師がとことんお世話をしてくれて、医師も何度も顔を見にきたり治療を施したりするため、感謝を感じることがあります。
しかし、これは全て仕事のうちであり、看護師も患者が治療しやすい補助を行い、できないことはやるなど全てにおいて仕事です。
その代償として医療費を患者から頂くので、患者側はしっかりと治療や身の回りの世話に対して返していることになります。
お互いの関係は明確に出ており、そこまで恩に着る必要はないというのが正しいでしょう
他の患者と平等に接する必要がある
これは前述でも解説したように、医療従事者は入院した患者全てを平等に扱い、治療や看護をする必要があります。
よくドラマで「お得意様」「VIP」というシーンを目にすることもありますが、基本誰もが皆平等にしなければいけません。
そのためにも金品や菓子折りは受け取らないとしている病院も多くあります。
誰しもが治療を受けられるよう環境を整えてこそ病院の評判も保てるというものです。
患者側に特別扱いをしてほしいという気持ちはなくても、菓子折りを受け取るという行為が他の患者にどう映るかもわからないため、注意してください。
どうしても渡したいという場合は?
上記までのことを多少理解しているけれど、どうしても感謝の意としてナースステーションにいる看護師たちに伝えたいという場合はどうしたら良いのでしょうか。
そのような気持ちを持つことは決して悪いことではなく、むしろ日本人ならではの好意とも言えるので、その際どうするべきなのか解説していきます。
どうしても菓子折りを持っていきたいという場合には以下のような方法を取るか、気持ちを伝えてみましょう
受け取ってもらえないという前提で渡す
「必ず受け取ってもらえるだろう」と菓子折りをナースステーションに持っていってはいけません。
むしろ「受け取ってもらえない」という気持ちで入院又は退院時に持っていった方が良いでしょう。
受け取ってもらえると思いながら選ぶと、高めのお菓子を選択してしまった場合受け取ってもらえない時に「こんなお金使ったのに」とむしろ悔しい気持ちになったり苛立ってしまうこともあります。
また、受け取ってもらえると当たり前に渡すと、看護師たちも委縮してしまい困ってしまうので、受け取ってもらえない前提で断られた場合にはすっと引くことも必要です。
小分けにされたお菓子類が良い
受け取ってもらえた時のことも考慮すると、ナースステーションで渡すことになるでしょう。
そうなったときもらって食べるのは看護師が主となります。
しかし、病棟で働く看護師の場合ゆっくりと食べている時間がないため、袋に入って小分けにされているお菓子にすることで持ち帰ることができ、好まれます。
また果物などの場合は切ったりしなければいけないので、手間を減らすためにも避けましょう。
他の方法で感謝の気持ちを伝えよう
感謝の意を伝える方法は菓子折りだけではありません。
ナースステーションの看護師に気持ちを伝えたい場合には、手紙などで気持ちを伝えるだけでも喜んでくれます
また、通院を必要とした場合には、その元気な姿を看護師や医師に見せるだけでもそれが恩返しとなるでしょう。
お礼の気持ちを持つことは日本人であるが故の感情であり、それを形にしたいと望む人もいます。
しかし、必ずしもその方法が菓子折りなど形にして表す必要はありません。
元気な姿を見せることや、再入院にならないようにすることはもちろん、はがきや手紙などを使って感謝の気持ちを伝えるだけでも看護師たちにとっては嬉しい形となって現れることを覚えておきましょう。
まとめ
病院で入院と決まった時にお世話になるからと菓子折りを準備したり、退院時にお世話になったからと菓子折りを持ってくる患者は少なくありません。
しかし、感謝の気持ちはわかるのですが、それが必ずしも礼儀というわけではなく、病院側も患者との立場を考えた上で断ることが多いです。
それも病院では違うため、もし菓子折りを準備したいという気持ちがあるならば、むしろ健康であること、元気な姿を度々見せるという行動だけで看護師や医師には喜ばしいことなので、そちらの方法を選択してみてはいかがでしょうか。