
病院に入職している看護師の多くは看護協会への加入を勧められたことはありませんか?
日本看護協会は看護師の質の向上や働き続けられる環境づくりのために創設された協会です。
加入に関しては、あくまで任意なのですが、中には加入しないと白い目で見られてしまうことも…。
本記事では日本看護協会の概要と、日本看護協会の加入は義務なのかを解説していきます。
日本看護協会は強制的に加入?
勤務先によっては看護協会に強制的に加入させられるところがあります。
しかし、看護協会への加入はあくまで任意です。
看護協会の会員にならないといけないという決まりはありません。
ですが多くの看護師が看護協会に加入しています。
それは勤務先が積極的に看護協会への加入を勧めているからです。
特に新卒で入社すると、わけも分からず入会を勧められて入ってしまっている方も多いでしょう。
自分に必要なのかを考えてから入会の可否を決めるようにしてくださいね。
一度加入すると雰囲気的にも脱退しにくいのが日本看護協会なので、加入を勧められたとしてもきちんと考えてから判断しましょう。
強制加入しなければいけないわけではありませんから。
日本看護協会とは
日本看護協会は、看護職員(保健師・助産師・看護師・准看護師)が自主的に加入し、運営する日本最大の看護機能団体です。
47もの都道府県にある県看護協会と協力して、活動しています。
基本的な理念は「人々の人間としての尊厳を維持し、健康で幸福でありたいという普遍的なニーズに応え、人々の健康な生活の実現に貢献する」というものです。
そのために看護の質の向上と働き続けられる環境づくり、看護領域の開発・展開を図る活動に取り組んでいます。
2019年において、約76万人もの看護職員が加入し、さまざまな医療問題に取り組んでいます。
具体的な活動内容
日本看護協会は以下の6つの領域において活動を行っています。
(1)政策形成
政策形成には医療問題への取り組みとして、制度改革への政策提言や政策決定過程への参画と働きかけなどを行っています。
時には日本看護連盟などの関連団体と共同して問題に取り組んだり、国民への理解と賛同を得るために働きかけたりしています。
(2)社会貢献
非常時などの災害支援や国際協力を行います。
世界的に健康情報の発信と健康意識の啓発活動を行い公衆衛生の点でも活動しています。
(3)広報
機関紙やホームページなどで協会の情報を定期的に発信しています。
時にはマスコミを利用して情報を発信することも。
(4)自主規制
看護倫理規定や、業務基準・ガイドラインの策定などを行います。
数年おきに機能評価を行い、看護の質を高められるよう動いています。
(5)支援事業
継続教育の実施や学術研究の推進を行い、日々進歩する医療に適応できるように学びの機会を提供しています。
それだけでなく、働いている職場の労働条件や環境の改善に取り組み、看護師一人ひとりの権利を守れるよう活動しています。
(6)開発・経営
看護業務や事業の開発と経営をサポートします。
事業経営する場合にも、積極的に支援を行っています。
日本看護協会に加入するには?
日本看護協会に入会するためには、まず都道府県看護協会に入会しなくてはなりません。
まず勤務先や勤務先にある都道府県看護協会で入会申込書を入手します。
申込書を入手したら、書類の記載項目を記入後、勤務先に提出したり直接都道府県の看護協会に送付したりしてください。
その後年会費を入金し、会員登録が完了となります。
完了後は自宅に会員証や会員バッジなどの会員である証明品が届きます。
現在ではWEB上で入会も可能です。
日本看護協会の年会費は5,000円で、都道府県の年会費及び入会金は都道府県によって異なります。
例えば東京都の看護協会に入会する場合は以下の通りです。
・入会費5,000円
・年会費5,000円
・維持管理費5,000円
上記合わせて15,000円かかります。
日本看護協会との入会で、合わせて20,000円となりますので、なかなかの出費ですね。
最も金額のかかる都道府県は福島県で、日本看護協会+都道府県の看護協会入会費などの合計は81,000円にもなります。
日本看護師協会に加入するメリットとデメリット
加入にお金のかかる看護協会。
では加入するとどんなメリットがあるのでしょうか?
まずは看護協会に入会するメリットからご紹介しましょう。
【メリット①】研修や学会へ参加できる
看護の質を高めるために定期的に研修や学会が開かれています。
この研修や学会に会員料金で参加できますので、非常にお得です。
例えば2019年に開催された「糖尿病の基礎知識と看護の実際」という研修は参加費10,800円だったのですが、会員料金で半額の5,400円で受講できました。
研修の中には無料になる研修もあります。
特定の研修を受けることでスキルアップだけでなく、昇進や給与アップなどにつながることも。
【メリット②】図書館の利用が可能
看護協会は独自の図書館を保有しています。
この図書館は看護協会の会員のみが利用可能です。
国内外の看護関連図書が中心となり、その数はなんと約5万冊とも。
資料の閲覧や複写、図書の貸し出しなども行っていますので、ぜひ利用してみてくださいね。
【メリット③】看護賠償責任保険制度への任意加入
看護賠償責任保険制度とは看護協会会員のみが入会できる保険制度です。
国内で行う看護業務によって、他人の身体や財産に損害を与えた場合、基本的には損害賠償責任を負わなくてはなりません。
しかしこの保険に加入することで、看護協会が法律上負担しなければならない損害賠償責任を補償してくれます。
また「看護職賠償責任保険制度」サービス推進室では、加入者に対し医療安全やハラスメントに関連する相談業務も引き受けていますので、気軽に相談も可能です。
次にデメリットについてお伝えしていきましょう。
【デメリット①】お金がかかる
看護協会は入会金と年会費の両方がかかり、入会の際にお金が必要です。
金額も数万円にもなりますので、なかなか高額ですよね。
高いお金を払っているだけ、看護協会を利用できていない人も多いです。
【デメリット②】総会などに出席させられる場合がある
全員ではありませんが、人によっては病院や施設の代表に選ばれ、看護協会の総会に出席させられるケースがあります。
中には看護協会の役員などのポジションを任される人もいるでしょう。
通常の勤務に加え、協会の役員ともなると非常に忙しくなりますね。
日本看護協会の退会方法
看護協会は毎年自動で継続手続きが取られるため、退会すると決めたら手続きをしなくてはなりません。
看護協会を退会する時、勤務先が退会手続きをしてくれる場合と個人で退会手続きをする場合の2通りがあります。
勤務先で退会手続きをしてくれる場合は、事務などで退会したい旨を伝えるようにしてください。
勤務先を退職する際も、看護協会を退会したいことを伝えておかないといけません。
個人で退会する場合は、各都道府県の看護協会に退会申請用紙を記載し提出するか、WEBでの退会手続きとなります。
退会申請が通ると、都道府県の看護協会だけでなく、日本看護協会もセットで退会となりますので、二重で手続きしなくて大丈夫です。
また退会申請をする時は時期にも気をつけてください。
年度が始まった4月1日に退会をした場合、その年の年会費などは戻ってきません。
退会するのであれば、年度前の3月までに退会しておくと良いでしょう。
まとめ
看護協会には強制加入する必要はありません。
加入するとメリット・デメリットが存在しますので、「他の看護師が加入しているから・・」と考えずに「自分に必要かどうか」を考えてから決めましょう。
看護協会に加入するか考えているのであれば、今回の記事を参考にしてみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。