看護学校 実習 シーツ 畳み方

看護師 免許証 資格 白衣の探偵

 

看護学校に通っていた頃、多くの学生が経験するのが「シーツの畳み方」の練習。

これを何度も練習し、実技試験では完璧な手順が求められます。

 

しかし、実際に臨床の現場に出ると、学校で徹底して教えられたシーツの畳み方を活用する機会はほとんどありません。

現役看護師として働く中で、「あの時間と労力は一体何だったのか?」と思わずにはいられない場面が何度もありました。

看護学校で学ぶことの多くは、国家試験の合格を目指した知識や技術が中心です。

その中で、実際の現場ではほとんど使わない技術や、時代遅れの内容に感じられるものもあります。

その代表例が「シーツの畳み方」ではないでしょうか。

 

今回は、シーツ実習に焦点を当て、看護学校での教育と現場のギャップについて考えてみたいと思います。

 

看護学校でのシーツ実習:細かすぎる手順とその徹底ぶり!

 

看護学校でのシーツ実習は、基本中の基本とされるカリキュラムの一つ。

例えば、授業ではシーツを縦に折る、横に折る、四隅を揃える、シワを伸ばすなど、非常に細かい手順を徹底して学びます。

ペアでの練習も繰り返し行われ、相手の作業をチェックし合いながら進める形式でした。

その中で特に印象に残っているのは、「三角折り」や「四角折り」を完璧に行うことを求められたこと。

少しでもシワが残っていると、「やり直し」と言われることもしばしばありました。

 

実技試験では、シーツの仕上がりだけでなく、作業中の手順やスピードまでも評価の対象となりました。

試験のプレッシャーから、多くの学生が自宅でも練習を重ねていたのを覚えています。

しかし、当時から疑問に思っていたのは、「これが本当に臨床の現場で必要なのか?」ということでした。

 

先生方からは、「基礎をしっかり身につけることが重要」と言われましたが、具体的にどのように役立つかは説明されることがほとんどありませんでした。

 

 

 

現場での現実:シーツは畳まない、捨てるだけ!

 

看護師として働き始めた後、最初に驚いたのは「学校で教えられたシーツの畳み方を使う場面がない」ということです。

 

現場では、使用済みのシーツはすぐにランドリーボックスに放り込み、クリーニング業者に処理を任せるのが一般的。

また、新しいシーツは既に畳まれた状態で病院に届くため、わざわざ手直しする必要がありません。

さらに、現在の病院では不織布の使い捨てシーツが採用されることも多くなっています。

 

感染対策や効率性の向上を目的としたこのシステムでは、従来のようにシーツを畳む作業は一切必要ありません。

この現実を見ると、「学校でのシーツ実習は無駄だったのではないか?」と思ってしまいます。

 

 

 

シーツ実習の限られた利点:家庭や特殊な状況での活用

 

シーツの畳み方がまったく役に立たないわけではありません。

 

例えば、自宅でシーツを片付ける際には、学生時代に身につけたスキルが活用できることがあります。

家族との間で「洗濯後の片付けがスムーズになった」という話も聞きます。

 

また、訪問看護や訪問入浴など在宅医療の現場では、シーツの扱い方を知っていると便利な場合があります。

患者さんの家で限られた資源を使ってケアを行う際に、昔ながらの技術が役立つ場面もゼロではありません。

 

こうした特殊な状況では、学校で学んだ基礎技術が助けになることもあります。

 

 

 

臨床に直結しないスキル

 

看護学校の教育には、多くの課題があります。

その中でも特に問題なのは、臨床の現場で必要なスキルが十分に教えられていないことです。

シーツの畳み方やベッドメイキングの細かい手順に時間を割く一方で、点滴を行っている患者の寝衣交換や体位変換など、現場で頻繁に求められる技術の訓練は少ないのが現状です。

 

また、看護学校で教えられる知識の多くは国家試験の合格を目的としたものであり、臨床での即戦力としてのスキルとは必ずしも一致していません。

このギャップを埋めるためには、現場での経験を積むしかないのですが、その過程で新人看護師が戸惑いやストレスを感じることが少なくありません。

 

 

 

なぜシーツの畳み方を教えるのか?

 

では、なぜ看護学校では「シーツの畳み方」をこれほど徹底的に教えるのでしょうか。

その背景には、「基礎技術を身につけることで、細部に注意を払う習慣を養う」という目的があります。

 

また、「シーツを広げやすくするための畳み方」という実践的な理由も挙げられるでしょう。

さらに、教育の目的として「どんな状況でも対応できる看護師を育てる」という理念があるのも事実。

例えば、災害時や緊急時など、資源が限られた状況で看護ケアを行う際には、こうした基礎技術が役立つ場合があります。

 

ただし、こうした状況に備えるためにどれだけ時間を割くべきかは、議論の余地があるでしょう。

 

 

 

時代遅れの教育

 

現代の医療現場は、効率性や衛生管理の向上を目的として進化を続けています。

不織布のシーツや使い捨て用品が普及し、従来のようなシーツ交換や畳み方の技術が必要なくなっているのが現実。

 

しかし、看護学校の教育内容は必ずしもこうした変化に追いついていません。

古い教科書や伝統的なカリキュラムがそのまま使われていることで、現場では不要な技術が学生に教えられる一方、実践的なスキルが十分に教育されていないという問題が生じています。

 

このギャップを埋めるには、教育現場が現場のニーズに即した内容に進化する必要があります。

 

 

 

看護教育の未来:現場に即したスキル教育を

 

看護教育の目的は、国家試験に合格することだけでなく、臨床現場で即戦力となる看護師を育てることです。

そのためには、教育カリキュラムを見直し、現場で役立つスキルや知識を重視するべきです。

具体的には、点滴の管理、患者の体位変換、精神的ケアのスキル、そして緊急時の対応技術などに焦点を当てた教育が必要。

 

さらに、最新の医療技術や現場での効率的な作業手順を取り入れることで、より実践的な教育が可能になるでしょう。

 

 

 

まとめ

 

看護学校で学んだことの中には、現場で役立つものもあれば、ほとんど使わないものもあります。

「シーツの畳み方」はその代表例と言えるでしょう。

 

しかし、学びの意味を否定するわけではなく、どんな技術も視点を変えれば活用できる場面があるかもしれません。

それでも、教育と現場のギャップを少しでも減らすために、看護教育は時代に合わせて進化する必要があります。

 

現場で働く看護師として、教育内容が実践的なものへと改善され、これからの看護師たちがよりスムーズに現場に適応できるようになることを願っています。