実習や国家試験を乗り越えて、苦痛の末に取得できる看護師免許。
私も国家試験の勉強のため、数ヶ月以上前から一生懸命勉強したことを覚えています。
しかし苦労はそれだけではありません。
実は看護師免許には「欠格事由」があり、これに該当してしまった場合、国家試験に合格しても免許すらもらえないのです。
本記事では国家試験の欠格事由について解説していきます。
ぜひ最後までご一読ください。
欠格事由に該当している場合は国試を受験できない?
「欠格」とは、要求されている資格を欠くことを指しており、「欠格事由」とは、欠格となる事柄を表しています
看護師国家試験においては明確な欠格事由といったものはありません。
しかしながら国家試験を受験するためには、必要な条件を満たしておかねばなりません。
看護師国家試験について、厚生労働省のホームページにいくと受験資格が掲載されています。
簡単にまとめると、以下のいずれかの該当していれば、受験資格を与えられることとなります。
(1)文部科学大臣が指定した大学において、看護師になるための必要な学科を修め、卒業した者あるいは卒業見込みの者
(2)文部科学大臣が指定した学校において、3年以上看護師になるための必要な学科を修め、卒業した者あるいは卒業見込みの者
(3)都道府県知事の指定した看護師養成所を卒業した者あるいは卒業見込みの者
(4)免許を取得後3年以上業務に従事した准看護師で、指定大学または指定学校、指定養成所で2年以上修行した者
(5)保健師助産師看護師法に規定されている外国の学校もしくは養成所を卒業し、外国において看護師免許に首藤する免許を受けた者で、(1)~(3)に掲げられている者と同等以上の知識及び技能を有する者
(6)インドネシアから国家資格取得を目的として就業している外国人看護師候補者で、(1)~(3)に掲げられている者と同等以上の知識及び技能を有する者
(7)フィリピンから国家資格取得を目的として就業している外国人看護師候補者で、(1)~(3)に掲げられている者と同等以上の知識及び技能を有する者
(8)ベトナムから国家資格取得を目的として就業している外国人看護師候補者で、(1)~(3)に掲げられている者と同等以上の知識及び技能を有する者
(9)過去に(6)~(8)により受験資格を認められた者
(10)保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律に規定されている者
どれも看護師になるためには必要な過程を述べています。
看護学校、もしくは看護科のある学科でしっかりと学べば自ずと条件をクリアできますので、決して難しいことではありません。
欠格事由になっても即免許取り消しになるわけではない
看護師免許における欠格事由とは、以下のものが該当します。
(1)罰金以上の刑に処せられた者
(2)前号に該当する者を除くほか、保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務に関し犯罪又は不正の行為があった者
(3)心身の障害により保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省で定めるもの
(4)麻薬、大麻又はあへんの中毒
厚生労働省 保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二〇三号)より
これらに該当した場合、厚生労働省の医政局医事課試験免許室で審議され、欠格事由と判断を仰ぐ形です。
現職の看護師が欠格事由に該当した場合、「戒告」「3年以内の業務停止」「免許の取り消し」のいずれかの処罰が与えられます
特に免許の取り消しは最も重い処罰です。
ですが、これまで何らかの刑罰を受けた看護師でも、免許の取り消しまでの処罰を受けた者は年に数人ほどです。
特に自動車事故などの場合、免許の取り消しまでの処罰を受けることは少なくなっています。
うつ病は「欠格事由」に該当するのか?
看護師は仕事量もさることながら、命に直接関わる仕事ということもあって、非常に心身ともに披露する職業です。
そのため働く中で、精神疾患を発症する方も多く見られています。
特にうつ病は多い疾患の一つです。
うつ病と診断された後、看護師の免許は取り消されてしまうのでしょうか?
保健師助産師看護師法に記載されている看護師の欠格事由には以下の記載があります。
『心身の障害により保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの』
この心身の障害という部分は、資格、聴覚、音声機能もしくは言語機能または精神の機能の障害により業務を適正に行うにあたって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができないと定めています。
うつ病は正しい治療を受けていれば、普通の日常生活を送れる病気です。
そのためうつ病と発覚した場合であっても、すぐに免許が取り消しとなることはありません。
しかしうつ病の治療を拒否し、さらに重篤な場合に陥った場合は、免許の取り消しという重い処置を受ける可能性があります
病気が発覚した際には、そのままにせず、早いうちから治療を受けることが大切です。
うつ病の経験があるからこそできる看護師
うつ病から復職した看護師はたくさんいます。
うつ病という経験は、周囲から見た時に決してポジティブな印象ばかりではないでしょう。
しかし私は病気を経験したからこそ、生かせる経験があると思います。
私も看護師1年目の時に、慣れない仕事のストレスやハードな職場環境、人間関係にとても悩まされました。
入社してから半年で体重は-20kgと激減し、不眠症として睡眠薬を内服し、なんとか寝る生活でした。
プライマリーの勧めもあって、心療内科を受診したところ「適応障害」と診断。
何度も「自分に看護師は向いていないんじゃないか」と悩みました。
でも最終的に、看護師として仕事に復職する選択をしています。
その理由は、どうしても看護師人生に後悔が残っていたからです。
4年間勉強や実習を乗り越えて、国家試験にも合格したのに、わずか半年で辞めてしまうなんてもったいないなとも思いました。
復職後は別の病棟に異動し、新しい環境で働き始めました。
もちろん何度も辞めたいと感じる場面はありました。
でもその度に、「一度挫折した人間は強い」と自分を奮い立たせ、仕事に取り組んでいました。
辛い1年目の時期を終え、2年目になる頃には過去の辛いと思っていた気持ちもだいぶ和らぎ、のびのびと働けるようになっていました。
まとめ
欠格事由や、うつ病になった場合のお話をしていきました。
この話は安易に復職を進める話ではありません。
しかし私のように精神疾患と診断された後も、うまく折り合いを付けて働ける看護師もいるのです。
精神疾患になったからこそ、その経験を生かして普段の看護にも生かせるのではないでしょうか?
復職に悩んでいるなら、一度病院のリエゾンナースや相談窓口で相談してみてもいいでしょう。
看護師は常に人手不足ですから、現在の職場だけでなく、もっと自分にあった職場があるかもしれませんね。