有給というのは、企業で働いている従業員が条件を満たした場合、毎年一定の有給休暇を付与することをが労働基準法のもと義務づけられたものになります。
それは看護師も同様であり、勤続年数が長ければ長いほど多くの有給を付与されています。
しかし、この有給休暇について悩む看護師は少なくありません。
看護師として働いていて、自ら有給休暇の申請をしたことはあるでしょうか?
私は正規雇用時代に有給について話を上司から受けたことはありませんでした。
私の場合は勤続年数が少なかったということもあり、有給休暇についての話はあまりありませんでしたが、勤続年数が長い同期から「有給休暇を勝手に消費されていた!」という話を聞いたことがあります。
実はこの勝手に有給休暇を消費されているというのは他人事ではなく、自身にも起こっている、または起こりうることです。
それはどういうことなのか、また勝手に有給を消化されないための対策はあるのか紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
看護師の有給が勝手に消化されることは多い!
看護師というのは不定休で尚且つ二交代や三交代で勤務をこなします。
また看護師が少ない状況によりハードな勤務体制が組まれることも多く、気づくと連続何日勤務というのもざらでしょう。
そして看護師も勤続年数が伸びれば、必然的に有給が取れるようになるわけですが、いざ私用で有給が欲しいと言って申請をすると「有給はない」、「有給は残っていない」と上司から言われることがあります。
または、有給をもらうことを意識していない人の場合、有給の申請をすることなく何年も経っていたということもあるでしょう。
本来有給は労働基準法によって使用するようにと言われているため、有給を使わずに溜まっている場合には、上司から本人に「有給を使うように」と報告を受けます。
では、なぜそのような話が上がらないのか、またなぜ希望した時に有給が残っていないという現状があるのか、そのことについて詳しく解説していきましょう。
上司が勝手に調整していた
「上司が勝手に調整しているってどういうこと?」と疑問に思う人もいるでしょうが、実は看護業界ではこれが当たり前になりつつあります
看護師の勤務体制というのは上司である師長が組んでいるというところが多く、私の勤務先は師長が勤務体制を組んでおり、私たちはそれを受け取り初めて来月の勤務が分かるという状態でした。
そのため、その人のシフトを師長は好きに組むことができ、休みだと思っていた日が実は有給だったということも・・・。
シフトが出る前に師長から相談を受けることはなく、独断で使われるか、シフトが出てから「その日は有給にしたから」と事後報告なんてこともざらです。
看護業界では暗黙のルール
実は上記でお伝えした勝手に有給消化について、看護業界では暗黙のルール化しつつあります
看護職員誰しもが、有給について言うことはなく、勝手に使われていることに反抗することもないという状態です。
そのため、新人として入ってきた看護師も、有給が与えられるようになってもそれに従うしかないという状況にされつつあります。
また看護師業界では、先輩優先という上下関係があるので、休みを希望しても先輩が優先され後輩は希望通り勤務を組めないことがあるでしょう。
そのため、本来欲しい休みを有給にしようとしても通じずに、別の日を勝手に有給にされるということも少なくありません。
退職時に消化しようとしても残っていない
これも看護師業界ではよくあります。
病院を辞めようと思い、有給休暇を消化してから退職という形を取ろうと考える看護師もいるでしょう。
長く働けば最大で20日に与えられ、2年繰越すことができるので、うまく計画を立てて動けば1ヶ月以上の有給をもらうことができます。
このように何日か残っている有給を使い切って辞めようと思い、その旨を上司に話した際に「有給は残っていない」と言われることもあります。
シフトを組まれた際に、師長など上司がうまく有給を使いつつ組んでいたのであれば、残っていないことは当たり前となり、泣き寝入りするしかないという現状になるでしょう。
看護師業界であなたは洗脳されている!
新人として入った当初、何も分からない時に洗脳は始まります
暗黙のルールというのは要は先輩から教えられた通りに自分も行わなければ、いじめや目をつけられて嫌な思いをすることになるでしょう。
そして、この有給消化に関することも同様です。
先輩たちはまず自分から有給消化について交渉を上司にすることはありません。
上司が作ったシフトに対して文句を言うこともなく、どれだけ連勤が続いたとしてもこなしている様子が目に入ってきます。
そのような環境を目にしていると、先輩を差しおいて自分がでしゃばってはいけないと自然と考えるようになります。
そして何年か勤続し、自分が先輩になった時には病棟の忙しさを把握できるまでになり、休むというのはどういうことか十分理解しているので、後輩にもそれを強要してしまうでしょう。
このように新人時代から洗脳され、自然とそのルールが根付いてしまうということです。
また、上司に相談しても無理というのを自然と知っているので、交渉をしようともしないでしょう。
なぜ無理なのか。
それは交渉した経験が一回は必ずあると思います。
その時に「無理」と突っぱねられることが主だからです。
一度交渉した際に、このように断られてしまうと次から相談しようという気にはなりませんよね。
有給が勝手に消化されるときの対処方法
自分の有給が勝手に消化されるというのは、正直怒りに変わりますよね。
有給消化というのは自分が希望した際に利用してほしいという気持ちが普通です。
「先輩は有給について何も交渉していない」や「上司に相談しても断られる」からと、自分もそれに従うことは間違っています。
まずは相談をしてみて、断られたり、勝手に消化されるのであれば、それなりに自分から行動しなければいけません。
もしも相談した時期がシフトが出る直前であったり、なぜ有給が欲しいのかという理由が明確ではない場合には、早めの有給希望、その理由について正直に話し、相談してみてください。
そうすると希望に沿った休みをくれる場合もあります。
それでも勝手に消化される場合には以下の対処法を考えてみてください。
労働基準監督署に相談する
相談をしても受け入れてもらえないという時や、改善される様子がないという場合には労働基準監督署に相談してみることも一つです
有給消化を勝手にする、与えないというのは労働基準法に違反していることになるので報告を受けた病院に調査が入ることも可能でしょう。
しかし、労働基準監督署もそう簡単に動いてくれるわけではありません。
それなりの証拠が必要であり、有給申請書やそれを拒否したさいの書面、音声など何かしら準備をしなければいけないので面倒な部分はあります。
また報告するとなれば、病院内にも知れ渡るので肩身が狭く、働きづらい環境になる可能性もあるのであまりオススメではありません。
転職を視野に入れる
有給消化を勝手にすることがどうしても我慢できない、休みであったり勤務状況に不満があるという場合には、もういっそ転職を考えることも一つです
有給消化を勝手にすることが暗黙のルールになっているという話もしましたが、全ての病院や施設がそうかというわけではありません!
看護師が激減している今、働き方についての問いは多く、環境を改善するべく多くの病院も動いています。
中には有給消化率100%の職場も出てくるなど、とても働きやすく頑張っている病院もあるので、諦めずに探してみてください。
看護ルーなら有給がきちんと貰える職場を探してくれます。
病院で働きたいわけではない場合には、多少給与面は減ってしまいますが、施設やクリニック、訪問看護など働き方はとても様々な形であるのが看護師のメリットでもあります。
病院に絞るのではなく多方面の転職を考慮し探してみてはいかがでしょうか。
まとめ
有給というのは看護師に限らず、多くの企業でも問題になっており、現在労働基準法が強化されたことも含めて、誰しもが働きやすい社会にするために動いています。
それはどれだけ忙しい病院であっても対応を考えなくてはいけず、本来勝手に消化されるというのはおかしい話でもあるので黙認してはいけません。
慣れてしまうとこのような異常な環境を普通と感じてしまう看護師が多く、気づけないまま何年も働いているということも少なくないでしょう。
黙認するのではなく、より自分に良い環境にするためにも行動を起こしてください。