看護師という職業を選んだ多くの人々が、健康や命を守るという崇高な使命を胸に働いています。
しかし、その仕事の過酷さゆえに、自身の健康を犠牲にしてしまうケースも少なくありません。
その一例として、「睡眠薬を使用しなければ睡眠を確保できない」看護師の多さが挙げられます。
この現実は、多くの人々に驚きを与えるとともに、看護師という職業の特殊性を浮き彫りにします。
夜勤と体内リズムの崩壊
看護師の勤務体制には、日勤だけでなく夜勤や交代勤務が含まれることが一般的。
夜勤では、通常の生活リズムが大きく崩れるため、睡眠の質や時間が著しく低下します。
一晩中病棟を動き回り、患者の対応に追われる中で、自律神経が乱れ、日中に眠ることが困難になるケースが多いです。
その結果、睡眠薬に頼ることが「普通」と感じられる環境が形成されるのです。
「看護師が人の睡眠リズムを整える一方で、自分は薬に頼らざるを得ない」という皮肉な現状に、看護師自身が疑問を感じることも少なくありません。
私自身、患者の生活改善をサポートしながら、自分の不規則な生活に違和感を覚える日々が続いたことがありました。
薬に頼ることの賛否
睡眠薬の使用自体は悪いことではありません。
むしろ、適切に使用することで健康を維持し、質の高い仕事を継続できる場合もあります。
しかし、薬に依存しすぎる状況が「普通」になっている職場環境には問題が潜んでいます。
以前勤めていた職場では、「心療内科に通いながら薬を飲んで働くのは珍しくない」と言われたことがありました。
そのとき感じたモヤモヤ感は今でも記憶に残っています。
休むべき状態で無理をして働き続ける姿勢が美徳とされる風潮が、この問題を助長しているのではないでしょうか。
仮眠中に睡眠薬を使う人も
夜勤の際、短時間の仮眠が認められることがあります。
しかし、中にはこの短い仮眠を確実に取るために睡眠薬を使用する看護師もいます。
これは一見合理的な選択肢のように思えますが、実際には薬の作用が切れないまま業務を再開するリスクを伴います。
仮眠のたびに睡眠薬を使用する同僚を見たとき、「そこまでしなければならないのか」と驚きと困惑を覚えたことがあります。
たった数時間のために薬を使う行為は、長期的に見て体への影響が懸念されます。
痛み止めの乱用と「普通」の怖さ
夜勤が続くと体力的に厳しくなり、睡眠薬だけでなく痛み止めに頼る看護師も少なくありません。
頭痛や筋肉痛、あるいは体調不良を抱えながら働く人が多く、「ボルタレンがないと不安」という声も珍しくありませんでした。
私もかつては、勤務中の偏頭痛を耐えきれずに痛み止めを常用していました。
振り返ると、「これが普通」という感覚が恐ろしいものだったと気づきます。
精神的な負担も大きい
看護師は患者や家族と接し、命に関わる業務をこなす中で、精神的にも大きな負担を抱えます。
このような過酷な環境では、メンタルヘルスに問題を抱える人も少なくありません。
私は以前、本当なのかどうかわかりませんが、精神科の看護師がアルコールと睡眠薬を併用し、記憶をなくしたという話を耳にしたことがあります。
そのとき、この職業の闇を痛感しました。
仕事の質と健康の両立
睡眠薬を使用しても仕事に影響が出ないのであれば、一つの選択肢として認めるべきでしょう。
しかし、「健康を守る立場の人間が、自分の健康を犠牲にして働く」という構図に、根本的な疑問を感じます。
患者の命を預かる責任を果たすためには、まず看護師自身が健康であるべきです。
看護師としてのジレンマ
看護師の職場では、「薬を使ってでも働くことが当たり前」とされがちです。
この価値観に対して「看護師なのに健康を犠牲にするのはおかしい」と感じる人もいます。
私自身、健康を大切にするべき職業であるにもかかわらず、体調を崩してしまうジレンマを抱えていました。
まとめ
看護師の睡眠薬使用の実態は、職場環境や労働条件の改善が求められていることを示しています。
「患者のために」という思いで働く看護師が、自分の健康を犠牲にしなくてもよい職場づくりが必要です。
この問題に対する社会的な認識を深めるとともに、看護師自身も「普通」に疑問を持ち、声を上げる勇気を持つべきです。
健康であることが、より良い看護を提供するための第一歩なのです。