育児から仕事復帰してい働く多くの方が短時間勤務制度、通称「時短勤務」を選択されていることでしょう。
育児と仕事を両立するために生まれたこの制度は、もちろん看護師でも利用できます。
しかし看護師の中には時短勤務にしているにもかかわらず、なかなか思うように帰れないという事態が起こっていることをご存知でしょうか。
本記事では看護師はそもそも時短勤務とは何なのか、何のために作られたのかを説明し、なぜ看護師は時短勤務でも帰れないのかを合わせて解説していきたいと思います。
ぜひ最後までお読みください。
時短勤務になっても帰れない看護師の事情
短時間勤務制度についての制度の内容や目的は後ほどご紹介していきます。
・短時間勤務制度は3歳に満たない子を養育する労働者に対して、1日の所定労働時間を原則として6時間とする制度である
・短時間勤務制度を利用するためには特定の条件に該当する者でないと利用できない
この短時間勤務制度を利用しているにも関わらず、なかなか帰れない看護師の事情に迫っていきたいと思います。
看護師の仕事内容は患者さんの療養上の世話及び医師の介助が中心です。
言葉だけで聞くと大したことのないように思えてしまうかもしれませんが、看護師は一人で多くの患者さんを対応しなくてはなりません。
日によっては非常に床度の重い患者さんを対応することもあるでしょう。
何人もの方の清潔ケアや排泄介助、食事介助、バイタルサイン測定、その他個別に合わせたケアを提供し、時間内に終わらせることの方が難しく感じます。
特に急性期の病棟では、これに加えて緊急入院や術後の患者さんもいます。
もちろん時短勤務の方が帰れるよう、周囲もサポートしますが、仕事内容的にもなかなかサポートしきれないのが現状なのです。
私が以前勤務していた病院でも、時短勤務で働いているママナースがいました。
出勤時間を後ろにずらしたり、退勤時間を前倒しにしていたりとフレキシブルに時間の調整をしていましたが、退勤時間通りに帰れている日は月に数回あるかないかというくらいでした。
自分の仕事が終わっても、他の看護師の仕事を手伝ってくれていたためです。
その姿を見て感じたのが、「この世界は自分の仕事が終わっても帰れない」というものでした。
みんなで協力して仕事を終わらせることも大切ではありますが、特に看護師の世界はこの風潮が強いように感じます。
時短勤務を利用している方にも、「そろそろ時間だから帰りな」と優しく声をかけるものはおらず、中にはその方が帰宅した後に文句を言う看護師もいたほどです。
私自身、育児をしながら看護師として働くビジョンが見えなかったのには、このような背景があったからかもしれません。
時短勤務とは
時短勤務とは、一日単位で決められた労働時間より短く働く勤務形態のことを指しています。
働き方改革などにより、近年さまざまな働き方が提唱されたことで生まれた働き方です。
なおフレックスタイム制や出退勤の時間を変更することも時短勤務とされています。
時短勤務は政府主導のもと、平成24年7月から全面的に施行されました。
育児・介護休業法を改正し、以下の3つの制度を事業主に義務付けています。
3つの制度を導入することが事業主の義務になります。
(1)短時間勤務制度・・・短時間勤務(1日6時間)ができる制度です。
(2)所定外労働の制限・・・残業が免除される制度です。
(3)介護休暇・・・介護の必要がある日について仕事を休める制度です。
厚生労働省より
・短時間勤務制度
3歳に満たない子を養育する労働者に関して、1日の所定労働時間を原則として6時間とする短時間勤務制度を設けなければならない
・所定外労働の制限
3歳に満たない子を養しくする労働者が申し出た場合、事業主は所定労働時間を超えて労働させてはならない
・介護休暇
要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行う労働者が申し出た場合、介護が必要な方に応じて介護のための休暇を与えなければならない
これらの制度が導入されたことで、キャリアを諦めることなく、積極的な社会参加ができるようになりました。
時短勤務の目的
時短勤務は夫婦共働きの家庭が増えたことで、家庭と仕事を両立できるように導入されたものです。
特に家庭と仕事のワークライフバランスを重んじる風潮が生まれたことで、企業に時短勤務を導入する仕組みが政府主導のもと進められるようになりました。
時短勤務が導入されたことで、これまで育児のために仕事やキャリアを諦めざるを得なかった方が、仕事に復帰しやすくなりました。
特に働く女性が増えたことで、男女平等が進む取っ掛かりにもなりました。
時短勤務の導入状況
平成30年に厚生労働省が発表した「平成30年度雇用均等基本調査」によると、育児のために短時間勤務制度を導入している事業所は全体の65.1%でした。
平成28年は60.8%、平成29年は66.4%、波はあるものの年々増加傾向にあります。
参考 厚生労働省 育児のための所定労働時間の短縮措置等の制度の導入状況より
同じ調査によると、介護のための短時間勤務制度を導入している事業所は61.6%でした。
時短勤務の対象者
厚生労働省雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課の「短時間勤務制度(所定労働時間の短縮等の措置)について」によると、短時間勤務制度の対象となる労働者は、以下の全てに該当する者とされています。
・3歳に満たない子を養育する労働者であること
・1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
・日々雇用される者でないこと
・短時間勤務制度が適用される期間に現に育児休業をしていないこと
・労使協定により適用除外とされた労働者でないこと
厚生労働省 短時間勤務制度(所定労働時間の短縮等の措置)についてより
時短勤務でも帰れないのなら転職も視野に
育児と家庭を両立するために、せっかく利用している短時間勤務制度。
子どもが3歳になるまでと期限も決められていますし、利用できないのは非常にもったいないことです。
病棟、特に急性期病棟などの回転が早い部署は、時間通りに帰ることは厳しいです。
時短勤務で帰れないのなら、転職も視野に入れておきましょう。
オススメの転職先は以下の3つです。
・慢性期病院
・訪問看護
・クリニック
慢性期病院は緊急入院や急変が起こりづらいため、突発的な残業が発生しません。
他にも急性期病院よりもママナースが多く、周囲のサポートも手厚いでしょう。
訪問看護は自分で仕事の調整ができ、特に育児や家庭と両立したい方にオススメです。
仕事量を調節できるため、子どもが体調を崩した時や学校の行事などにも対応しやすいのが魅力的ですね。
クリニックも開院時間が決まっているため、残業が発生しにくいことと、中抜けと呼ばれるお昼休憩の時間が長いため、一度自宅に戻って日中に家事を終わらせるといったことも可能です。
このようにママナースでも働く場所を変えると、短時間勤務の恩恵を十分に受けることが可能です。
「なかなか帰れない…」「仕事と家庭の両立が難しい…」とお考えの方は、一度転職することを検討してもいいかもしれませんね。
まとめ
看護師の時短勤務についてお話していきました。
病院にもよるのですが、時短勤務があって無いような職場が現実にあります。
むしろ時短勤務をすることが「悪い事」になっている場合もあるのです。
そこで頑張るか、環境を変えるかは自分次第ということを覚えておきましょう。
私は、自分にとってプラスにならないと考え転職サイトを使って転職しました。
時短勤務できる職場を探してみてはいかがでしょうか?