看護師とは病院でもクリニックでも患者さんとの距離がとても近く、多く接する機会もあります。
そのため看護師の一つの行動や言動で患者さんが嫌な気持ちになったり、こちらには非がないと思っていたとしても、相手からすれば問題と捉えられることも多いでしょう。
そんな時に起こりうるものが『クレーム』です。
「お年寄り扱いされた!私はまだしっかりしている!」
「いつまで待たせるつもりだ!」
など、様々なクレームを受けると周囲は気にしていなくても自分にとっては大きな傷になったり精神的に落ち込んだりなど自分にとってマイナスになります。
クレームが続けば看護師を辞めたいと思う事もあるでしょう。
そのようなマイナスな気持ちにさせないために、クレームが来た時の対策や、気持ちが落ち込まないようにする対処法などをお話していきます。
なぜクレームが来るのか考えてみた
何故看護師はよくクレームをもらうのでしょうか。
人と接する仕事はどうしても感情のぶつかりや、価値観の相違などで意見も分かれることがあります。
しかし、看護師というのは患者さんを思って行動しており、適切な処置や看護をしている人も多くいるでしょう。
患者さんを思ってしていた行動からクレームに発展する程、看護師にとってショックなことはありません。
何故看護師という職でクレームが多いのか私の経験から考えて見ました。
クレームを言う患者さんの特徴
患者さんの中にはプライドが高かったり、自分の時間軸を持っている方であったりと本当に様々な方が病院に来院します。
そのため、看護師だけではなく事務も医師も相手の性格を見極めつつ診察や検査、看護をしていかなければいけません。
例えば、病院やクリニックに勤めている方や、長年通われている方はどれくらいの待ち時間を要するのかということや、病院であればどのような医療従事者がいるのかということを把握しているので何も言うことはありま。
しかし、初めて来院した方や入院したことのない人、自己中心的な人というのは何も知らなかったり、自分のことで精一杯なので、何か少しでも気に入らないことがあればクレームになるきっかけに発展していきます。
何故看護師にクレームを言うのか
クレームを受けるのは医師や事務など同じですが、クレームの数で言うと看護師がトップ。
医療従事者の中で看護師が最も患者さんと交流するので一番クレームをもらう立場とも言えます。
病院であれば、患者さんの身の回りのお世話はもちろん、処置や検査等にも立ち会います。
クリニックであれば採血や注射、治療の説明など話す機会が多いでしょう。
そうなると、患者側も看護師の一つの言葉や態度にカチンとくる機会も増えていくのです。
看護師の接し方は本当に正しいのか
クレームを言う患者さんの特徴で説明したように、患者さんの性格上の問題というのもありますが、もちろんそれだけではありません。
看護師の態度や言葉遣いというのもクレームになる一つの要素です。
例えば、年上に対し敬語を使用しないで、「おばあちゃん」「おじいちゃん」と言う呼び方をして名前を呼ばないことであったり、時として冷たい態度になってしまったり、明らかに患者さんに対する態度をとれなかった場合もクレームの原因になります。
患者からクレームが来た時の対策
看護師をやっている以上クレームは避けることができないので、受けないようにすることももちろん重要ですが、クレームを受けた際にどのように対策を取っていくかも求められます。
クレームの中には理不尽なものばかりではありません。
クレームを受けたことで取れる対策や改善点など企業にとってプラスになることもあります。
では、どのような対策をすると良いのでしょうか。
患者さんの気持ちを理解する
クレームを受けた時、真っ先に対応する態度の一つとして「心情を察する」ということです。
クレームを言ったということは、何かしら患者さんにとっては不快な思いをしたということ。
まずは、その気持ちをしっかりと理解する姿勢を見せましょう。
否定したり、他者との間に起きたことだとしても、自分や他者を守るような姿勢を決してしてはいけません。
そのような態度を取ってしまうと、更に患者さんの気持ちは不快になりヒートアップしてしまいます。
しっかりと謝る
クレームをしっかりと受け入れた後に、最初に発する言葉は「謝罪」です。
患者サイドが悪かったとしても、最初に謝罪をすることで相手も気持ちが落ち着きます。
ここで、謝罪がなかったり、相手の話を遮るようなことを決してしてはいけません。
否定同様、患者さんの気持ちが収まらず更なるクレームに繋がります。
クレーム内容の把握を行う
患者さんが落ち着いたところで、再度事実確認を行いましょう。
最初は怒りや悲しみから記憶違いのことを言っていたり、思い込みなどもあります。
患者さんに再度こちらから確認をした後に、自分又は他者との間にどのようなことがあったのか確認を行います。
改善策を伝える
クレームによっては、改善策を取れる内容もあります。
「この人に触ってほしくない」という内容であれば、今後は別の看護師をつけることや、手技等によるひどい内出血や、何度も刺されたという場合も同様です。
他にも、態度のクレームであれば看護師同士が話し合い、言葉遣いや態度に細心の注意を払うなど対策を取った後に、クレームを言ってきた患者さんに伝えましょう。
そうすることで、患者さんの気持ちも落ち着きます。
上司に登場してもらう
どうしても当事者や周囲の人で解決できないと判断した場合は、病院であれば看護師長、看護部長、クリニックであれば看護師長、院長に詳細を伝え間に入ってもらうことも必要です。
上司が登場し、話をしたことで患者さんも落ち着くことがあります。
自分たちで対応できないという場合は投げ出さず、上司に頼ってください。
クレームが来て落ち込んだ時の対処方法
何度かお伝えしているようにクレームを受けて落ち込まない人というのはそんなにいません。
多くの看護師が落ち込み、ネガティブな方向へ辞めたいと感じていきます。
クレームを受けた時に、どのように対処できるかで今後の動きも変わってくるでしょう。
落ち込んだ時に決してしてはいけないことがあります。
それは「一人で抱える」ということ。
そうならないように対処方法を紹介します。
同僚と話す
同僚というのは、先輩や上司と違い気心が知れた仲間です。
一番患者さんやお互いの事を把握できている存在なので、話しやすいのではないでしょうか。
もし、何かクレームを言われ、落ち込んで辞めたいと思った時に、自分一人で決めるのではなく、まずは同僚に話してみてください。
アドバイスまではいかないかもしれませんが、自分の気持ちを受け入れてくれるでしょう。
先輩や上司に相談する
同僚に話をしたくてもいないという人や、そこまで仲良くないという人は、自分の指導者である先輩、看護師長に相談をしてみてください。
先輩や上司は、あなたと同じ経験をしてきています。
そのため、対処方法や今後の行動など様々なアドバイスをしてくれます。
また、話を親身に受け止め心を落ち着かせてくれることもあります。
落ち込んだ時は自分より上の立場の人に相談することも一つでしょう。
クレームに対して前向きに捉える
クレームの種類によっては深刻に捉えるのではなく、前向きに自分の経験として受け入れることも重要です。
手技のクレームや言葉遣いなどであれば改善できる見込みがあり、今後の経験にもつながっていきます。
患者さんに不快な思いをさせてしまったことは事実なので、その後にどのような行動をするかという事を患者さんも見ています。
改善する姿勢を見せることで、患者さん自身も安心できるでしょう。
どうしても無理だと感じた際は転職する
以上のことを踏まえた上で、どうしても自分には無理だと感じた場合は「辞める」ということも一つの選択肢。
我慢をし続ける必要もありません。
そのまま続けることで自分が精神疾患を患う可能性も出てきます。
しっかりと考え、自分の意思で出した結論であり、そこまで辿り着くことに十分頑張った証拠です。
辞めることは決して悪いことではありません。
まとめ
今回は患者さんからクレームが来たときに「辞めたい!」と思った時の対処法や考え方などをお伝えしました。
患者さんも看護師も同じ人間です。
ちょっとしたきっかけでクレームが発生してしまうことは普通の事ではありますが、看護師にとってとても大変な瞬間でもあります。
いろいろな方法はありますが、無理をせずに看護師を続けられる環境が一番。
今回の記事で、少しでもお役に立てればと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。