看護師として働く中で、ほとんどの人が一度は「もう辞めたい」と思った経験があるでしょう。
その背後にはさまざまな要因があります。
高いプレッシャーや労働環境、上層部の古い考え方などが組み合わさり、看護師は日々多大なストレスにさらされています。
これに加え、患者や家族からの要求も増加しており、看護師が働く上でのやりがいや満足感は次第に失われがちです。
一般企業と比較した看護業界の現状
一般企業では「働きがい」や「職場の楽しさ」が重視され、充実した労働環境が提供されていることが多くなってきたのではないでしょうか。
友人が自由で活気ある職場の話をするのを聞き、「自分は何のために働いているのだろう?」と疑問を感じたことのある看護師も少なくないでしょう。
看護業界では、未だに昭和時代の厳格な文化が残っており、楽しさよりも「我慢」と「耐えること」が求められる風潮があります。
賃金の停滞:現実のギャップ
看護師の給料は、長年にわたり大きな変動がないことが問題です。
一般職の給与が経済成長に伴い上昇しているのに対し、看護師の給与は保険点数の制約や医療費抑制政策の影響で上昇する余地がほとんどありません。
このような状況は、特に若い看護師にとってモチベーションを失わせる要因です。
「これだけ努力しているのに報われない」と感じることが、看護師の離職意向を強めています。
看護業界全体が直面する課題は「給料が増えないのに、仕事は増えている」ことです。
これにより、看護師たちは心身共に疲弊し、「何のためにこの仕事を続けるのか?」と自問する日々を送っています。
絶えない人員不足と過重労働
人手不足は看護業界全体の課題であり、ほとんどの病院や施設で深刻な影響を与えています。
夜勤や長時間労働が当たり前となっている現場では、限られた人数で膨大な仕事をこなさなければならず、その負担は新米からベテランまで全員が感じています。
特に夜勤明けの疲労感や過酷な勤務シフトは、看護師の心身の健康に悪影響を与え、最終的には離職につながることもあります。
また、新人看護師がすぐに辞めてしまう背景には、このような厳しい労働環境が一因としてあります。
実務経験が浅い段階で過酷な労働に直面することで、早期にキャリアを諦めてしまうケースも少なくありません。
「体力的に持たない」と感じる看護師が続出しているのは、現在のシステムの欠陥を反映していると言えますね。
偉そうな患者対応と増え続けるクレーム
看護師は患者に寄り添い、安心感を与える仕事です。
しかし、現実にはすべての患者が感謝の念を持って接してくれるわけではなく、時に看護師は理不尽な要求や厳しい態度にさらされます。
「患者に個別性を重視」と言われながらも、看護師自身の個別性や人間らしさはしばしば無視されるのです。
暴言や物理的な暴力を受けることがあっても、それを受け入れなければならない状況が続いています。
一方、患者家族からのクレームも年々増加しています。
情報過多な時代において、家族がインターネットで得た知識を基に過度な期待を抱くことも少なくありません。
その結果、看護師が対応に苦慮する場面が増えています。
「看護師として働いているのはなぜだろう」と思わざるを得ない瞬間も多いでしょう。
馬鹿げた昭和的な管理職と組織文化
看護業界では、上層部に「昭和の価値観」を持つ管理職が残っているケースが多々見られます。
厳しい環境で自らの経験を積んできた上司が、「自分もこれだけ苦労したのだから、若手も同じように耐えるべきだ」という考え方を持つことがしばしば。
そのため、現場の看護師が「柔軟性を持って働きたい」「仕事の楽しさを見つけたい」と思っても、その声はしばしば黙殺されます。
看護師が抱える閉鎖的な空間での勤務は、「世間を知らない」という批判も招きがちです。
実際、看護師が病院という限られた環境にいることで、外部との交流が減り、職場の価値観が硬直化するという問題もあります。
看護教育と古いシステムの影響
看護学校の教育自体も時代遅れであることが、看護師の働き方に影響しています。
教育現場で学ぶことが、すでに時代遅れの価値観に基づいているため、現場に出た際に直面する状況も変わらず昭和的です。
患者の個別性を尊重することが強調される一方で、看護師自身の働き方や生活の質を考慮する教育はほとんど行われていません。
一部の医療教育機関では、学生の声を反映して改善が行われていますが、看護業界全体としてはその波が十分に広がっていないのが現状です。
自分を守るための戦略
看護師として生き抜くためには、いくつかの選択肢があります。
一つは、看護協会を通じて資格取得やスキルアップを目指し、自分のキャリアに付加価値をつけることです。
これにより、現場での自信や、より良い環境で働く機会が広がります。
もう一つは、自分を信じて環境の困難に耐え続け、経験を積むことです。
私自身も30歳を過ぎた頃から「この人は頼れる」と周囲から一目置かれるようになりましたが、それまでの道のりは厳しいものでした。
真の変革には何が必要か
看護業界を変えるためには、根本的な職場文化の改革が必要です。
管理職が「若い人は打たれ弱い」と嘆くのではなく、そもそも打たれなければならない環境そのものを変えていく必要があります。
新しい世代の看護師が意見を表明し、上層部と対話を持ち、よりオープンで協力的な職場を築くことが求められています。
まとめ
看護師という職業は、その重要性とともに大きな責任を伴うものです。
しかし、「仕事を続ける意味」を見失いがちな現状にあっても、希望を持ち続けることが重要です。
改革は一朝一夕には起こりませんが、個々の看護師が声を上げ、より良い未来を築くための努力を続けることで、やりがいと働きやすさを両立させた職場が生まれるかもしれません。
看護師は、ただ「耐える」存在ではなく、「人をケアするプロフェッショナル」であるべきです。
この本質を忘れず、自分の価値を見出しながら歩んでいくことが、看護師としてのキャリアを続けるための大切な鍵です。