看護師は病院や施設だけが働く場所ではありません。看護師として働く方法として「治験コーディネーター」という働き方があります。
治験コーディネーターというお仕事を聞いたことがある方もいると思いますが、治験コーディネーターの看護師が実際にどのような働き方をしなければいけないのか知っている人は少ないでしょう。
では治験コーディネーターのお仕事とはどういう内容なのか、またメリットや治験 コーディネーターになる上で注意することは何なのか紹介していきます。
これから治験コーディネーター看護師として働きたいという人はぜひ参考にしてください。
治験コーディネーターとして働く看護師の仕事内容は?
まず最初に治験とは、疾患を治療するための新薬が作られた際に、どれほどの効果があるのか、また副作用等はないのか何年もかけてデータとして出し、実際の多くの患者に利用できる治療薬かどうか判断をしていくための要は実験のようなものになるでしょう。
実際に実験と言っても怖いものではなく、しっかりと害が及ばないように作られており、どれだけ効き目を発揮できるかというものになります。
そして、その治験を行う上で被験者のデータを集めたり医師や関連部署との連携を取る役割を担っている者が治験コーディネーターという仕事です。
治験コーディネーターの看護師の仕事としては以下の項目になります。
・治験に協力してくれる被験者へ説明と補助
・被験者のケア
・被験者のスケジュール管理
・医師や関連部署との連携
・調査、データ管理
など、看護師として主な仕事に加えてデータ管理など書類作成にも関係してくるでしょう。
看護師が治験コーディネーターになるメリットとは
看護師が病院などの勤務から治験コーディネーターになるメリットとはどのようなものなのでしょうか。
治験コーディネーターに関してマイナスなイメージを捉える方も少なくありませんが、実は治験コーディネーターになると、看護師として今感じている負の部分というのは軽減することができます
ではどのようなものがメリットとしてあるのか紹介していきましょう。
夜勤や残業がない
治験コーディネーターは被験者のデータを取ることや、身の周りのケアということで夜勤があるのではないかと思う人もいるでしょう。
しかし、治験コーディネーターの看護師は基本夜勤がありません。
そして土日祝日は必ず休みになるため、予定も立てやすくなります。
勤務も17時30分には退勤を取れるため残業もなく、その後も何か予定があればこなすことができます。
病院や施設に勤めている看護師の多くが悩むプライベートの時間が持ちやすく、家族優先の生活も可能となるでしょう
精神的、体力的負担がない
看護師の仕事は立ち仕事に加え、力もいることが多いため体力勝負という部分があります。
また、看護師は人間関係が大きく関わる仕事でもあることから、精神的に病んでしまうという人も多いでしょう。
治験コーディネーターの看護師は被験者のケアをするといってもそこまで体力を消耗する仕事内容はなく、どちらかというとパソコンを扱うことからそこまで負担もないでしょう
人間関係に関しても多くの看護師と交流を図らなければいけないということもないため、比較的落ち着いた環境で仕事ができます。
知識を活かすことができる
看護師の仕事は患者のケアや医師の補助など必要なことも多く、知識も自然と身に付いてきます。
その知識を治験コーディネーターでは活かすことができます。
自分が熟知した疾患であれば特にその知識を活かすことができ、色々な手助けもできるようになるでしょう
もちろん、自分が知らない疾患であっても、そこから学ぶことはもちろん、様々な症例と関わっていけるという点で自分の知識を広げるチャンスにもなります。
治験コーディネーターの看護師は、このように看護師としてのやりがいはもちろん、新たな学びもできるため大きなメリットと言えるでしょう。
治験コーディネーターは看護師の強みを活かせる
治験コーディネーターという仕事は看護師だからできるという部分が多くあります。
病棟などで働いていると、コミュニケーション能力が必要であったり、適応力はもちろん、判断力なども求められてきます。
そのような場所で働いてきている看護師は、まさに治験コーディネーターに向いており、医師との意思疎通の取り方も把握していること、被験者からの情報収集ができる所など多くの看護師としての強みを活かせます。
治験コーディネーターという仕事は看護師の他にも薬剤師や臨床検査技師など医療資格を持っていることが条件ですが、この中でも看護師という職種は最も患者との接し方を理解している職種であるからこそ、向いているのではないでしょうか。
看護師が治験コーディネーターになる時に注意しておくこと
では、看護師が治験コーディネーターになる際、最も注意しなければいけないというのはどのようなことになるのでしょうか。
実は看護師も含め、医療従事者が治験コーディネーターになるのは簡単なことではありません。
人気もあることはもちろん、知識が必要でもあります。
最初に臨床経験が2~3年は必要であることから、資格取得直後に治験コーディネーターを目指すことはできないでしょう
それを踏まえた上で、他にどのような条件又は注意が必要なのか解説していきます。
年齢制限がある
治験コーディネーターになるには、実は年齢制限というものが設けられています
これは企業や地域によって大きく異なるものの、実は治験コーディネーターの看護師の9割は35歳までに治験コーディネーターの仕事をしています。
本来就職時に年齢制限を設けることは国の基準で許されてはいないのですが、なぜ治験コーディネーターはこのような制限がかかるのでしょうか。
これは、企業側にいくつか考えがあってのことになります。
例えば、治験コーディネーターが上司や教育者より年上だった場合に、教えづらいということや、新しい知識や方法を吸収する能力が低いということ、長時間の通勤や連勤に耐えられないのではないかなど。
自分はできる、大丈夫とアピールをしても、やはり企業側から不採用になることが多く、可能であれば20代から30代前半を希望としている企業も多いでしょう。
結婚や育児によって働ける環境が求められる
治験コーディネーターになりたいと望む看護師の中には結婚を機に環境を変えることを望んでいる人もいます。
しかし、治験コーディネーターとして求められる看護師は、転職後に育児休暇などに入られてしまうと困るため、そのような環境の看護師は避けることがあります。
主に結婚を既にしており、ある程度育児も落ち着いてきている看護師が治験コーディネーターとして採用されることは多く、結婚予定がないという看護師もまた採用されやすくなるでしょう
合格率は低い
治験コーディネーターに転職を希望する看護師も多くいますが、実は誰でもなれる職種というわけではありません。
治験コーディネーターの合格率というのは在住地域や経験などによっても異なりますが、おおよそ12%と非常に低く、必ずなれるだろうと現在勤めている病院等を退職するのはやめたほうが良いでしょう。
看護師が治験コーディネーターになるために受ける主な選考は「書類選考」「面接」「適性検査」の3つになり、性格等の判断はもちろん、算数や国語など能力検査、筆記試験、作文など通常の面接とは異なるため注意してください。
まとめ
治験コーディネーターになりたいと望む看護師は数多くいますが、実は誰でもなれるということはなく、限られた一部の看護師だけになります。
しかしそこで諦めるのではなく、チャンスにかけてみるというのも一つの手段となります。
治験コーディネーターは夜勤を苦手としている人や、知識を活かしたいという人、自分の時間を持ちたいという人にはとてもオススメの働き方となります。
ぜひチャンスを掴み、治験コーディネーターになるためにチャレンジをしてみてください。