人の命を預かる仕事 叩く

看護師 免許証 資格 白衣の探偵

 

看護師という仕事は、多くの人に「責任が重い仕事」として認識されています。

それは当然のことであり、実際に患者の命を預かる立場として私たちは日々の業務に細心の注意を払っています。

 

しかし、「人の命を預かる仕事だからこそ責任感を持て」と責められることと、それに見合った待遇を受けられるかは、まったく別の話。

私たち看護師は、日々医療現場で働きながら、命を守るという大きな責任を全うしようとしています。

それにもかかわらず、その責任の重さと報酬のバランスが釣り合っていないのは大きな問題です。

 

特に、業務上のミスや不祥事が報道されると、「責任感が足りない」と批判されることが少なくありませんが、私たち看護師はその言葉に傷つき、現場の状況を知ってほしいと切に願います。

 

看護師の賃金の現実:理想と現状の乖離

 

現代の日本における看護師の平均月給は約25万円前後と言われています。

日本看護協会 看護師の基本給与額、税込給与額(全体):図+表より

 

この数字は、一見すると悪くないように感じるかもしれません。

しかし、ここには多くの労働時間、精神的なプレッシャー、さらには夜勤や緊急対応といった特殊な業務内容が含まれています。

さらに昇給率も非常に低く、年に数千円程度しか増えないケースが多いのが現状。

 

一方で、看護師は国家資格が必要であり、その取得には膨大な勉強時間と実習が求められます。

さらに、現場では常に勉強を続ける必要があります。

医療技術や薬品が日々進歩しているため、最新の知識を身につけるために自己研鑽を怠れないからです。

 

しかし、その努力に対して賃金が正当に反映されていないことに、やりがいを感じて入職した新人看護師も次第に希望を失っていきます。

役職や資格を取得しても手当は数万円程度と限定的で、労働負荷はむしろ増える場合が多いです。

これでは、長く働き続けるモチベーションを維持するのが難しいのも無理はありません。

 

 

 

「責任感」を問う声と現場のジレンマ

 

「人の命を預かる仕事なのに!」というフレーズは、私たち看護師が耳にする機会が多い言葉です。

確かに命を扱う職業である以上、その重みを理解するのは当然のことです。

 

しかし、外部からこのように糾弾されるたびに、現場で働く看護師たちは強いプレッシャーと不満を感じています。

なぜなら、責任感を求められるのであれば、その責任に見合った労働環境や賃金を提供するべきです。

そうでなければ、負担ばかりが増え、看護師たちの精神的・肉体的疲弊を招くだけです。

 

また、実際に現場を知らない人々が「責任感」を語るとき、それが現場の実態を無視した安全圏からの発言に感じられることも少なくありません。

 

 

 

長時間労働と過労がもたらすリスク

 

看護師の業務は非常に多岐にわたります。

患者のケア、診療補助、書類作業、家族への対応など、1日のスケジュールは分刻みで動いています。

その中で、人手不足が深刻な現場では、一人ひとりの看護師にのしかかる負担は計り知れません。

 

また、夜勤が含まれる不規則なシフト勤務が多く、これが健康に大きな影響を及ぼしています。

睡眠不足や体調不良、さらには慢性的なストレスが、看護師たちを蝕んでいます。

 

このような環境で働き続ければ、過労によるミスが発生するのも無理はありません。

にもかかわらず、「責任感が足りない」という批判を受けるのは、現場の看護師にとって非常に辛いことです。

 

 

 

離職率の高さが示す現場の限界

 

現場で働く看護師の多くが、心身の限界を理由に離職を選んでいます。

日本看護協会の調査によれば、看護師の離職率は10%を超えており、特に若い世代の看護師が辞めるケースが目立ちます。

この背景には、低賃金、劣悪な労働環境、そして社会的な評価の低さが挙げられます。

看護師を辞める人が増えれば、それだけ現場の負担がさらに増大します。

この悪循環が続けば、いずれ医療インフラそのものが機能しなくなる危険性があります。

それは、患者やその家族だけでなく、社会全体にとって大きな損失となります。

 

 

 

政治と社会が直視すべき問題

 

看護師や介護士、保育士といった職業は、社会を支える重要な役割を担っています。

しかし、これらの職業に対する待遇は、まだまだ不十分。

なぜこのような状況が続いているのかと言えば、政治や社会全体がこれらの職業の重要性を正当に評価していないからです。

 

一部の政治家や国民の中には、看護師の仕事を「医者の補助」「簡単な業務」と見なしている人もいます。

このような誤解が、待遇改善への取り組みを妨げているように感じます。

 

また、「人手不足だから仕事がきついのは当たり前」という考え方がまかり通っているのも問題です。

 

 

 

「やりがい」という言葉に潜む危険性

 

看護師という職業は、「やりがいのある仕事」として語られることが多いです。

しかし、現場にいる私たちにとって、この「やりがい」という言葉は必ずしもポジティブな意味を持つわけではありません。

むしろ、やりがいを盾にして、低賃金や長時間労働を正当化しようとする風潮があるのではないかと疑いたくなることさえあります。

やりがいがあるからこそ働きたいと思う一方で、そのやりがいに見合うだけの報酬を求めるのは当然のことです。

 

 

 

責任と報酬のバランスを求めて

 

看護師に限らず、どの職業でも責任を果たすのは当然のことです。

 

しかし、責任の重さに見合った報酬や労働環境が伴わないのでは、働き続けること自体が苦しくなります。

 

また、過酷な環境がミスを招くリスクを高めているにもかかわらず、そこを問題視する声が少ないのは残念です。

賃金の改善だけでなく、現場の労働環境そのものを見直し、働きやすい環境を整えることが求められます。

 

 

 

まとめ

 

看護師として働く私たちは、医療の未来を守るために、現状を変えていく必要があると強く感じています。

待遇の改善、労働環境の見直し、そして社会的な理解の向上が、看護師という職業を持続可能なものにするために必要。

私たちはただ批判されるだけでなく、正当な評価を受けながら働きたいと願っています。

そうすることで、より多くの人々が看護師という職業に魅力を感じ、未来の医療を支える力となるはずです。