
看護師として長年働いていると多くの職場で色々な経験をします。
クリニックも一つです。
クリニックは家庭を持つ人であれば両立しやすく、働きやすいというイメージを持たれることが多いでしょう。
しかし、クリニックでの仕事も一つ何か合わないことがあれば辞めたいと思う看護師は何人もいます。
クリニックがどのような環境で、どのような業務なのか理解していないと、「楽そう」、「ストレスがなさそう」など安易な気持ちで転職すると長く勤務し続けることはできません。
その理由は何故なのか、またクリニックを辞める人の多くはどのような理由なのか紹介していきます。
ぜひクリニックへの転職を考えている人は参考にしてください。
クリニックで働いて辞めたいと思う8つの理由
看護師という職種は働き方がいくつかあります。
夜勤のある病棟勤務、施設、外来勤務、クリニック勤務など、職種は一つですが働き方は大きく異なります。
そのうちのクリニックは、病棟勤務のみしたことがある人は特に感じるでしょうが、「楽なのではないか」と錯覚してしまうことも。
しかし、看護師という職種がハードなのはクリニックも同様です。
むしろクリニックは最も看護師の出入りが多いのではないでしょうか。
では、周囲から楽だと思われているクリニック勤務の何が理由で辞めたいと思い転職してしまう人が多いのでしょうか。
その理由を8つ紹介していきます。
クリニック独特の人間関係
病院や施設など大きな形態をなしている所で働いている人は、看護師は看護師、医療事務は医療事務とそれぞれの役割を担って仕事をします。
自分の職種以外の業務をすることや、対応し合うというのも少ないのではないでしょうか。
しかしクリニックは違います。
クリニックは職員が最高でも20人程、入院施設などがなければもっと少ないでしょう。
そのうち看護師は多くても6~10人程、医療事務も同様です。
そんな狭い施設内で仕事を一緒にしていれば、必然的に協力しなければいけない環境があります。
また、距離も近いのでプライベートな話をすることもあります。
このようにクリニックというのは職場での人間関係がとても重要になってくるのです。
もし、看護師が医療事務の機嫌を損ねれば、何かしら悪影響が出てくるでしょう。
もちろんそれは医療事務も同様。
そのため、クリニックで勤務をするというのは職員全てが同じ仕事をしていて、優劣はなく、仲良くやっていく必要があります。
クリニックを辞めたいと考える看護師の中には、この人間関係がうまくいかずに辞めてしまう人も多いです。
医療事務も看護師の対応や性格の不一致などで辞めることは少なくないでしょう。
残業代が出ない!?
クリニックは病棟や大きな企業が経営している施設とは違い医者が個人で営業しています。
そのため、給料やボーナスは病棟勤務の看護師と比べると圧倒的に少ないでしょう。
求人には残業がないと記載があるのに、短いとはいえ多少の残業が発生することもあります。
その際、残業代は出るのでしょうか。
正直、出ないクリニックが多いです。
もし出たとしてもパートや正社員によって変わりますが、タイムカードを診療終了時間から30分経過して押さないと残業に換算されないという所もあります。
このように、個人経営ならではの待遇の厳しさがクリニックにはあるでしょう。
病棟や施設など大きな所から転職してきた人にとっては不満が募り、辞めたいと考える看護師も多くいます。
院長のワンマンプレーは存在する!?
クリニックにいる医師は基本院長のみ。
そのため、看護師と院長の距離は近く、何かあればすぐに院長と話をしたり、相談したりと一日の中で院長と会話しない日はありません。
診療時に看護師がつかなくてはいけないクリニックであれば、院長とずっと一緒にいるわけですから、嫌気もさしてくるでしょう。
医者の多くはワンマンプレーが多いです。
看護師が何か指摘するとそれが気に食わず受け入れてもらえない、意見を取り入れてくれない、相談しても流されるなど、納得いかないことも。
そんな院長の元で仕事をするのは嫌だと辞めたいと考える看護師も多くいます。
もちろんクリニックの医師全てがそうではありません。
職員を大切にし、何か意見を言えばしっかりと聞いて考えてくれる医師もいるでしょう。
こればかりは、転職前に転職しようとしているクリニックの情報収集を行うか、転職して、院長と実際に働いてみないことには分からないでしょう。
つまらなくなってしまうクリニックの現状
転職前にERやICUなど急性期などを扱っていた看護師からするとクリニックはつまらなく感じる人も多いです。
クリニックは基本緊急性を持つ患者はいないに等しく、行う業務も決まっています。
どちらかと言うとクリニックは医師の指示のもと、採血、点滴、注射など技術が求められることが多く、命を救う仕事をしていることには間違いありませんが、そう実感できる場面は少ないです。
人助けをしたくて看護師になったという人の多くはクリニックのこの状況がつまらなく感じて辞めてしまう人も。
患者さんも慢性疾患が多いので、落ち着いて仕事をしたいという人には向いていますが、忙しく、頭を使うという職場を求めている人は合わないでしょう。
クリニックは忙しすぎる!
上記で記したようにクリニックは看護師に技術を求めることが多い職場です。
そして、医師の次に患者と関わることが多く、やることも多いでしょう。
病棟のように採血をしたら臨床検査科に回すことはなく、看護師が院内で必要とあれば検査を行い、心電図やリハビリも看護師が行います。
そのため、一日の流れで看護師が暇を感じることはありません。
やることは決まっているので、急な対応というのはありませんが、忙しくないと言えば嘘になります。
クリニックを楽だと思っている人が続かない理由はこの業務内容が多いという所でしょう。
クリニックに来て思っていた環境の違いに辞めたいと考える看護師は多くいます。
実は連休が取れにくい
クリニックは基本休診日が決まっています。
日祝日は休みが当たり前で、土曜は半休、他に平日が半休または休みという所が多いです。
そして、人数が多くないことから、看護師の出勤する曜日は決まっています。
長期休みが欲しくてもクリニックで取ることは困難でしょう。
もし長期休みが取れるとしたら、カレンダーに沿った連休くらいです。
家族がいる人は夫や子供たちの休みに合わせやすいので、あまり苦にならないでしょうが、そうではない日に長期連休を取ってどこか旅行へというのは難しいです。
そのため自分の希望する休みが取れないことに不満を持って辞める看護師も多いです。
昼休みはあって無いようなもの!?
これはクリニックによるのですが、主にクリニックは午前と午後で診療時間が決まっており、その間看護師の拘束される時間は長くなります。
例えば、午前診療が12時に終わり、午後は2時からだとした場合、この空いた2時間はクリニック内にいるか、家が近ければ一度帰ることもできますが、すぐにクリニックへ来なくてはいけません。
そして、午後はおおよそ18時までの診療が多く、場合によっては19時までやるところもあります。
その間看護師はずっとクリニックに縛られるので、それが嫌で辞める看護師もいます。
給料が少ないです
クリニックは何度もお伝えしているように、医師が個人でやっている職場です。
そして、来院する患者数というのも限られており、給与は病棟などに比べると少ない所が多いでしょう。
看護師は収入が良いと思われるように、病院など大きな所で働けば年収500万円は可能です。
しかし、クリニックは年収300万円が主。
パートであれば時給が高い所でも2000円前後でしょう。
このようにクリニックは業務内容が多いわりに給与が合わないと不満を持つ看護師や、やりがいがなく給与も少ないので、満足できないと思う看護師も多いです。
安い所であれば1500円にも満たないクリニックもあるので、転職前にボーナスの有無や給与の把握はしっかりとしておきましょう。
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患者への対応がひどすぎ
クリニックは地域密着型医療と言ってもいいほど、患者は決まった人で慣れ親しんだ間柄にもなります。
そのためなのか、看護師のみならず医療事務や院長の対応は病棟では見たことのないものです。
患者さんにタメ口を使う職員がいれば、おばあちゃん、おじいちゃんと患者の名前すら呼ばない、相手への敬意を感じないこともあります。
もちろん、それが原因でクレームを受けたり、患者を怒らせることも多くあり、そのような環境がひどいと感じる看護師もいます。
看護師とは病院でもクリニックでも患者さんとの距離がとても近く、多く接する機会もあります。 そのため看護師の一つの行動や言動で患者さんが嫌な気持ちになったり、こちらには非がないと思っていたとしても、相手からす …
場合によっては患者に対して冷たい看護師もいるほど。
他の職場で働いたことのある人はそのような環境に違和感を持ち、間違った対応をしていると思う人もいれば、そのような対応は自分にできないと辞めてしまう人もいます。
教育体制が整っていない
クリニックに指導者はいません。
クリニックで働けば師長を除く看護師は皆同僚です。
先輩後輩もあまりない所が多くあります。
何か教わりたくても、主に業務内容を教えてはくれるでしょうが、それ以上は何も教えてくれないことも。
クリニックに勤める看護師の人数が少なくて教える場を設けてくれないクリニックもあります。
そのため、自分は今何をしてよいのか、これはどうするのか等あたふたしてしまうこともあります。
このように教育体制の整っていないクリニックでは何も学べない、仕事が成り立たないと辞めたいと感じる看護師は多くいます。
クリニックは楽ではなかった!
クリニックの仕事というのは、病棟や施設で経験した看護業務とは大きく異なり、我慢しなければいけないこと、満足いかないことは多くあります。
転職してみたら思っていた環境と違ったということも多く、それが理由で辞める看護師もいます。
楽な仕事だろうと考えたり、給料やそのクリニックの環境について把握せず転職してしまうと、辛い思いをする看護師もいます。
もしクリニックに転職をしようと思っている場合には、そこにいる医師はどのような評判なのか、他に何か情報はないかなど情報収集を徹底してください。
病院も同様ですが、看護師の出入りが激しいクリニックは何か看護師にとって不満が多いということなので注意してください。
まとめ
看護師がクリニックで働いて「辞めたい!」と考える理由を解説していきました。
クリニックに転職するときに「クリニックは楽」「クリニックは働きやすい」と考えてくる看護師は本当に多いです。
クリニックを経験してきた私が思うのは、「なぜクリニックが楽と思う風潮」があるのか不思議でなりません。
確かに子育ての方にとってはクリニックは働きやすい環境と言えます。
これからクリニックで働く人の参考になればと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。