看護師は国家資格であり、他の職種よりも給料が高いと言われていることが多いです。
しかし実際は働く病院や、勤務先によって大きくばらつきがあることも。
本記事では看護師の初任給やボーナス、手取り等についてご紹介し、他の職種と比べてどれくらい違うのかお伝えしていきます。
ぜひ最後までお読みください。
気になる看護師の初任給の手取りはいくら?
2020年3月に日本看護協会によって発表された「2019年病院看護実態調査」によると、2020年ど採用予定の新卒看護師の予定初任給は、高卒+3年課程で201,263円、平均給与総額264,307円、4年制大学卒で平均基本給207,856円、平均給与総額272,018円となっています。
1) 新卒看護師の予定初任給
●2020 年度採用予定の新卒看護師の予定初任給は、高卒+3 年課程では平均基本給
201,263 円・平均税込給与総額 264,307 円(n=2,774)、大卒では平均基本給 207,856 円・平均税込給与総額 272,018 円(n=2,533)で、ほぼ横ばいの状況が続いている(図 2)。
●今年度初めて調査した大学院卒では、平均基本給 211,814 円・平均税込給与総額 277,472円だった(n=1,713)。日本看護協会 2019年 病院看護実態調査より
この金額は前年と比較してもほぼ横ばいであり、ここ10年ほどは大きな変動は見られていません。
なお平均給与総額には通勤手当や住宅手当、夜勤手当類が含まれて計算されています。
給与は地域や病院の規模によっても多少の変動があり、特に大きい病院ほど給与が高い傾向にあります。
高卒+3年課程の場合、病床数が99床以下の病院で平均給与195,235円に対し、病床数が500床以上の病院では平均給与207,592円でした。
給与総額で換算すると、その差は約1万2千円ほどにもなっています。
参考 日本看護協会 看護職の働き方改革の推進より
4年制大学卒の場合はより、病床数の違いによる給与が顕著です。
また給与は経営する法人によって差があるようです。
例えば、設置主体が厚生農業協同組合連合会、通称「厚生連」の運営する病院はどの学歴においても最低賃金額となっています。
逆に社会保険関係団体や日本赤十字社が運営する病院は他の病院より給与が高く、看護師の中でも人気です。
初任給を都道府県別に見てみると、関東や関西が高く、東北や四国、沖縄地方といった地方に行くにつれ低い傾向にあるようです。
特に東京や大阪などの大都市は他よりも高い給与をもらうことができます。
このように初任給の額は学歴や勤務先、地域による影響を大きく受けるものだと認識した方が良いでしょう。
看護師になって初めてのボーナスはいくら?
正職員で働く大きなメリットの一つにボーナスがありますよね。
4月から新卒看護師として働き始めると、一番最初にもらうことができるのは夏期のボーナスだと思います。
病院によっても支給されるボーナスは決まっていますが、一年目の夏期ボーナスでもらえる金額は数万円~10万円程度でしょう。
私が勤めていた病院では初めてのボーナスで20万円程度でした。
夏期のボーナスは少なくても寸志程度でも、冬季のボーナスは満額もらえますので安心してくださいね。
また病院勤務の看護師の場合、ボーナスは基本給4ヶ月前後のところが多いです。
クリニックや施設となると、事業所などによって2~4ヶ月とばらつきがあります。
実際にもらう金額は税金がかかってくるため、手取り自体は少なくなりますが、それでも嬉しい金額ですよね。
ちなみに給料と同様に、ボーナスにも地域差があります。
看護師のボーナス平均額トップは滋賀県で104.6万円、2位が栃木県で101.3万円、3位が岐阜県で99.6万円となっています。
4位が和歌山県、5位が茨城県と、意外にも大都市より地方がボーナスをもらっているという結果でした。
参考 看護roo! 看護師のボーナスはいくら?平均の支給額・手取り額は?より
看護師の初任給は他の職種と比べて高い?
看護師の初任給は約27万程度となっています。
一般財団法人労務行政研究所が2019年5月に発表したデータによると、大学卒で就職した場合の初任給は212,304円です。
民間調査機関の一般財団法人 労務行政研究所(理事長:猪股 宏、東京都品川区西五反田3-6-21)では、今年4 月の新卒入社者の初任給を調査し、4 月9 日までにデータの得られた東証1 部上場企業241 社について速報集計をまとめた。
調査では、35.7%の企業が2019 年度の初任給を「全学歴引き上げ」た結果となった。「全学歴引き上げ」の割合は、昨18 年度速報集計時の39.7%から4.0 ポイント低下した。一方、初任給を前年度と同額に「全学歴据え置き」した企業は57.3%で、昨年度速報集計時の52.3%から5.0 ポイント上昇した。
初任給額は、大学卒で21 万2304 円、高校卒で17 万505 円の水準。同一企業で見た前年度の金額に比べ、それぞれ1479 円・0.7%、1495 円・0.9%上昇した。一般財団法人労務行政研究所 2019 年度 新入社員の初任給調査より
発表されたデータの金額と比較してみると、看護師の初任給は他の職種よりも高いことがわかります。
しかし看護師の場合、夜勤手当なども給与に含まれているため、日勤だけと考えて比較すると、ほぼ同じ金額かもしれませんね。
さらによく話題にされているのが、看護師は初任給は他の職種より高くても、昇級の上がり幅が少ないため、30代半ばで他の職種に給料が抜かされてしまうというものです。
実際この話は本当のことで、10年勤めても昇給は1万~数万程度な職場が多いです。
主任や師長といった役職に就けば、また話は変わってくるとは思いますが、看護師は昇進もしにくい職種ですし、生涯年収で比べてみると厳しいものがありますね。
看護師の初めてのボーナスは他の職種と比べて高い?
看護師の初めてのボーナスは数万円~10万円程度となっています。
決して高くはないと言える金額ですが、他の職種はどうなのでしょうか?
看護師以外の職種のボーナスと比較してみましょう。
産労総合研究所が発表している『2020年度 決定初任給調査の結果』によると、85.6%の企業が何らかの形で夏期のボーナスを支給しています。
支給額の平均は大学卒の場合96,735円、高校卒の場合は74,307円です。
新卒入社者の夏季賞与の支給状況と支給額
4月入社の新卒入社者の場合、入社年度の夏季賞与の支給日には在籍しているものの、算定期間としてはわずかか、あるいは算定期間を過ぎた後の入社という場合が多い。
そのなかで、「何らかの夏季賞与を支給する」企業は85.6%、「支給しない」企業は7.9%となった。
「何らかの夏季賞与を支給する」企業の支給方法をみると、最も多いのは「一定額(寸志等)を支給」の64.5%で、次いで「在籍期間の日割計算で支給」19.7%、「日割以外の一定割合で支給」9.9%などとなっている。
支給額の平均をみると、大学卒96,735円、高校卒74,307円だった。支給額の分布をみると、最も多く分布しているのは大学卒・高校卒ともに「5~10万円未満」(大学卒41.8%、高校卒50.0%)であった。産労総合研究所 2020年度 決定初任給調査 新入社員の夏季賞与《速報》より
看護師と比較すると、ほぼ同等の金額がもらえていますね。
冬季のボーナスは満額もらえますので、2ヶ月分程度に加え、業績に応じたインセンティブが加算されます。
夏期・冬季と満額もらえた場合は、看護師よりも多い金額をもらえるかもしれませんね。
看護師の生涯年収は?他の職種よりも高い?
厚生労働省が発表している『平成30年度賃金構造基本統計調査』によると、看護師の平均年収は4,799,300円となっています。
この金額は基本給だけでなく、ボーナスや手当なども含まれた金額です。
この平均年収をもとに生涯年収を推定すると、約1億8240万円程度となっています。
看護師として定年まで働き続けることを想定した推定ですが、実際はここまでの金額は難しいでしょう。
理由は2つあります。
1つ目は看護師の仕事内容的に体が辛くなってくるためです。
看護師の仕事は患者さんの療養上の世話や医師の介助がメインですが、非常に動き回る仕事です。
仕事の際に万歩計をつけていたら、3万歩の表示に驚いたこともありました。
もちろん毎日こんなに動き回ることはないでしょうが、それでも十分な肉体労働です。
年齢を重ねていくと、夜勤なども辛くなってくるでしょうし、働き方を変えていかないと難しいものがあるでしょう。
2つ目は看護師は女性の割合が多い職種であるためです。
女性は結婚や妊娠、そして育児といったライフイベントがあるため、一時的に仕事を休職または退職せざるを得ません。
この特に育児では子どもの養育もあることから夜勤がない働き方を選択する方が多いです。
夜勤がないということはその分の手当もありませんから、結果的に給料に影響し、生涯年収の低下につながるのです。
『平成30年度賃金構造基本統計調査』には全職種の平均年収についても言及しています。
これによると、全職種の平均年収は4,972,000円です。
同様にして推定年収を計算してみると、1億8993万円程度となっています。
もちろん職種にもよりますが、他の職種の方が看護師よりも長期的に働き続けられますので、生涯年収としては多いでしょう。
まとめ
初任給の手取りやボーナスについてお話していきましたがどうでしたか?
これから看護師になる方や、他の人から見て看護師の給料はどのように見えたでしょう。
私は給料が高いと思ったことは本当に最初のころだけ。
看護師を続けていくうちに、あまりの忙しさもあって「安い!」と何度か考えたことがあります。
しかし、環境によってはやりがいのある環境です。
思い込みだけでなく、いろいろ調べて働き先を考えていきましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。