皆さんは病院とクリニックの違いをご存知でしょうか?
「病院は夜勤がある」「クリニックは中抜けがある」などそれぞれの特徴をご存知の方も多いと思います。
ですが違いはそれだけではないのです。
本記事では私が実際に経験した病院とクリニックの違いについて、経験談を交えながらお伝えしていきます。
ぜひ、最後までご一読ください。
一般的に知られている病院とクリニックの違い
一般的に病院とクリニックでは何が違うのでしょうか?
医療法において以下のように定義されています。
『「病院」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、二十人以上の患者を入院させるための施設を有するものをいう。
「診療所」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、患者を入院させるための施設を有しないもの又は十九人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう。』(医療法第一条の五)
法律では病院と診療所の違いは、20人以上入院できる施設を保有しているか、していないかというだけのようです
ちなみにクリニックという名称は診療所とほぼ同義で、自由に名称に用いることができます。
ですが実際のところ、勤務条件や環境などに多くの違いがあります。
病院、クリニックと一口に言ってもそれぞれ診療科によっても特徴や違いがありますよね。
この記事では総合病院と内科クリニックで比較してみましょう。
まず総合病院の特徴は以下のものが挙げられます。
- 病棟がある
- 夜勤がある
- 集中治療室や手術室がある
- 入院してくる患者がいる
- 清潔ケアがある
- たくさんの職種の方が働いている
- 院内で検査や処方ができる
こんなところでしょうか。
他にも細かな違いがあると思いますが、これらは内科クリニックにはない特徴です。
逆に内科クリニックの場合はこのような特徴があります。
- 基本的にクリニックで働く人は医師と看護師、医療事務の3職種のみ。
- 中抜け制度がある
- ケアを提供する機会はない
- 給料は病院よりも下がるところが多い
- 看護師が検査を行うところもある
- 入院を必要とする治療ができない
いかがでしょうか。
病院とクリニックでは、病床数だけでなくこのように多くの違いがみられます。
これはあくまで総合病院と内科クリニックの比較ですが、耳鼻科クリニック、美容外科クリニックなど場所によっては上記で挙げた特徴と全く異なるところもあります。
この中でも私たちが気になるポイントが「夜勤の有無」「就業先」「勤務状況」などですよね。
一つずつ解説していきましょう。
夜勤の有無
人によっては欠かせないポイントの一つである夜勤の有無。
特にお子さんがいる家庭において、夜勤の有無は重要ですよね。
総合病院で正社員として働く場合、基本的に夜勤はあります。
もちろん就業規則上「3歳まで」や「小学校に入るまで」は夜勤免除と決められているところもありますが、それを超えたら夜勤をしなくてはなりません。
クリニックや診療所では、入院施設のないところがほとんどなので、夜勤をすることはありません
就業先
就業先も転職を考える方にとっては必須の情報になりますね。
例えば集中治療室や手術室で働いていきたい方は、そういった施設を保有しないクリニックへの転職は避けるべきでしょう。
もちろん病棟での勤務を希望している方も同様です。
逆に病棟で勤務したくないとお考えの方にとっては、クリニックでの就業も選択肢の一つとなります。
勤務状況
例えば拘束時間や給料などです。
病院の場合、8時半〜17時半まで、16時〜9時までと就業時間が決まっていました。
それはもちろんクリニックの場合も同様です。
しかしクリニックの場合、「中抜け」と呼ばれるシステムがあります
クリニックは基本的に午前の診察と午後の診察に分かれています。
午前の診察は9時〜12時まで、午後の診察は15時〜18時までといった形です。
この時、12時〜15時まではどのような扱いなのかというと休憩時間になります。
1日の勤務時間の中で2時間ないし3時間近くの休憩があることを中抜けと呼んでいるのです。
この中抜けの時間で、自宅に帰って家事をしたり、家でゆっくり休んだりすることも可能です。
しかし中抜け制度がある代わりに、診察時間の終了が遅いところもあるため、これをメリットとするかは個人によるでしょう。
またクリニックは夜勤がないところがほとんどですので、夜勤手当がなく病院に比べて給料が低くなる傾向にあります。
その代わり、日勤帯のみの安定した生活スタイルを手に入れられます。
「給料が下がってもいいから、夜勤のないところがいい!」とお考えの方にとっては、クリニックはおすすめの職場とも言えるでしょう。
働いてからわかる病院とクリニックの違い
ではここから病院、クリニックの2つを経験した私の体験談を交えてお伝えしていきます。
新卒で就職する方のほとんどが、病院だと思います。
やはり病院は多くの求人を出していますし、何より経験を積むという意味合いではベストな場所であるからです
実際私が入社した病院も、その年の新人看護師はゆうに100人を超えていました。
ですが、その分人間関係のトラブルが多いのです。
人間関係の悩み
もちろんたくさんの人が集まれば、合う・合わない人がいるのは当然でしょう。
しかし病院においては、新人同士のトラブルというより、先輩看護師とのトラブルが圧倒的に多いと感じました。
病棟によってはトラブルメーカーな看護師、いわゆるお局と呼ばれる看護師もおり、新人いじめをしていたからです
結果的にその年が終わる頃には、残った新人看護師は60名程度。
人間関係は、働いていく中でとても重要なポイントです。
病院のように多くの人が働き、先輩・後輩という関係性が明らかなところは、人間関係に注意が必要かもしれませんね。
ではクリニックはどうかというと、実はクリニックにも近しいところはあります。
クリニックは少数精鋭のところが多く、病院ほど多くの看護師が働いているわけではありません。
そういう意味ではクリニックの場合、上下関係が厳しいというような雰囲気はないでしょう。
しかしクリニックの場合、年長の看護師が強い立場にいることが多く、その方に目をつけられたらひとたまりもありません!
そういった意味で、クリニックは病院とは違う人間関係に悩まされる可能性があります。
クリニックに転職して生活の質が上がった!
私は病院からクリニックに転職し、クリニックの人間関係に悩まされながらも、転職して良かったと感じています。
それはひとえに病院よりも残業時間が少なく、夜勤がなくなったことが生活スタイルやライフステージにも大きく影響したからです。
病院勤務時代は、前残業も含めて月80時間程度残業していました。
これだけ残業していたらプライベートの時間なんてありません。
また夜勤もあったことで、日夜関係ないような生活を送っていました。
クリニックに転職してからは、残業も減りスタイルも整ったことで、プライベートを充分楽しめるようになり、そして生活の質は確実に高まりました
もちろん考えは人それぞれです。
夜勤がなくなった代わりに給料は減ったので、一長一短とも言えますしね。
あくまで一人の経験談として、理解していただけますと幸いです。
まとめ
病院とクリニックの違いについて解説してきました。
法律で明確に規定されているものの、それ以外のところで多くの特徴や違いがある両者。
ぜひ両者の違いを知り、今後働き方や転職などに役立てていただけますと幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。