看護師の中には子供との関わる仕事をしたいからと、小児科や乳児院で働く事を考えている看護師がいます。
特に乳児院は一般的な病院とは違い、保護者のいない乳幼児を保護し支援していく事が目的の施設です。
最初は小さな子供たちに関わっていける仕事・・と考え働く事を決めた看護師もいるでしょう。
しかし、現実は物凄くシビヤな環境なのです。
今あなたがこれを読んでいるのであれば、もしかしたら子供と関わり合いを仕事にしたくて乳児院に入職したけど「やめたい!」と感じているのではないでしょうか?
今回は乳児院で働く看護師が「辞めたい!」と感じてしまう現状と対策などを解説していきます。
乳児院の看護師が辞めたい!と感じてしまう理由とは?
乳児院で働く前のイメージと現実との大きな違いに、脱帽してしまう看護師も少なくありません
乳児は成長段階にあるため、24時間体制で看護が必要であり、夜勤や長時間勤務が多くプライベートの時間が作れなかったり体力的にもキツイと感じてしまう。
子供たちとの関わり合いが多いと思っていたが、実際には保育士やソーシャルワーカーと協力して子どもたちを支援するため、思ったより直接的に子どもたちと接する時間が少ない。
多くの子どもたちは家族からの愛情を受けていないため、看護師自身が子どもたちに寄り添い、心のケアを行う。
等、一般的な病院とは違った環境だという事と、それ以上に思い描いていた環境とのギャップにショックを受けてしまった看護師も少なくないでしょう。
それにプラスしてストレスを感じてしまう場面があり、
24時間体制で運営し、多くのスタッフが働いている中で、意見の食い違いやコミュニケーションの不足など、人間関係の問題発生
乳児や幼児の健康管理や医療処置、保健相談など、専門性の高い業務が求められる
看護師として学んできたスキルを活かしきれない、又はスキルを身に着けることが出来ない
乳児院での看護師の職務内容に対して、やりがいや充実感を感じなくなる
看護師として乳児院に入職したものの、大変さやイメージの違いによって「辞めたい!」と感じてしまうのです。
もし、これから看護師として乳児院で働きたいと考えているのであれば、今一度調べましょう。
安易に「子供と関われるから・・・」だけでは、乳児院で働くのは厳しいと私は考えます。
乳児院で働く看護師の1日のスケジュール
乳児院の1日のスケジュールです。
このスケジュールを見て「え!」って感じてしまう看護師もいるのかもしれません
あくまで1例であり施設によって変わります。
時間帯 | 内容 |
---|---|
7:00~7:30 | 施設に到着し、朝礼を行う |
7:30~8:00 | 夜勤看護師から引継ぎを受ける |
8:00~8:30 | 朝食の準備や配膳の支援を行う |
8:30~9:00 | 朝食後の子どもたちの歯磨きや洗顔、着替えの支援を行う |
9:00~10:00 | 子どもたちの健康観察や服薬管理、健康相談などを行う |
10:00~11:00 | 子どもたちの遊びやリハビリテーションプログラムの支援を行う |
11:00~11:30 | おやつの準備や配膳の支援を行う |
11:30~12:30 | お昼の食事の準備や配膳の支援を行う |
12:30~13:30 | お昼寝の支援や、自立支援のためのトイレトレーニングや食事トレーニングなどを行う |
13:30~14:30 | 子どもたちの遊びやリハビリテーションプログラムの支援を行う |
14:30~15:00 | おやつの準備や配膳の支援を行う |
15:00~16:00 | 子どもたちの遊びやリハビリテーションプログラムの支援を行う |
16:00~17:00 | 子どもたちの健康観察や服薬管理、健康相談などを行う |
17:00~18:00 | お風呂や入浴の支援を行う |
18:00~19:00 | 夕食の準備や配膳の支援を行う |
19:00~19:30 | 夜勤看護師への引継ぎを行う |
19:30~20:00 | 子どもたちの就寝の準備や支援を行う |
20:00~23:00 | 夜勤看護師と協力して、子どもたちの健康管理や緊急時の対応を行う |
このように乳児院の1日のスケジュールを見ていくと、介護施設の様な1日になることがわかります。
一般的な病院で働く業務と乳児院との違いが分かってくるかと思います。
乳児院での看護師の役割とは?
乳児院での看護師の役割は、乳児や幼児の健康管理や医療処置を行うことが中心となります
原則として※乳児(1歳未満)を入所させて養育する施設で、保護者がいない子どもたちのために運営、子どもたちが適切な医療や栄養を受けながら、身体的・精神的な健康を保ちながら成長できるようにサポートするのが看護師としての役割になってきます。
※状況によっては3歳以上の場合もある
具体的な看護師の役割は
・健康状態を定期的にチェックし、健康管理を行う
・乳児や幼児が病気やケガをした場合には、適切な医療処置を行う
・護者や養育者に対して、乳幼児の健康や成長に関する相談
・手洗いやうがいなどの基本的な衛生管理の重要性を指導
乳児や幼児の健康管理だけでなく、保護者や養育者とのコミュニケーションや健康相談、保健教育など、幅広い領域にわたります。
乳児院は子どもたちの健康や成長を支援するために、状況によっては医師や看護師、保育士、ソーシャルワーカーなどの専門職員が常駐しています。
乳児院で働くための資格
資格の種類 | 説明 |
---|---|
正看護師 | 3年間の看護学校を卒業し、国家試験に合格した者 |
補助者 | 看護学校卒業前の学生や、看護師助手として働く者 |
保育士 | 保育士養成校を卒業し、国家試験に合格した者 |
社会福祉士 | 4年制の大学で学び、国家試験に合格した者 |
精神保健福祉士 | 2年制の専門学校を卒業し、国家試験に合格した者 |
心理士 | 大学院で心理学を専攻し、国家試験に合格した者 |
医師 | 6年間の医学部を卒業し、国家試験に合格した者 |
栄養士 | 専門学校または大学で栄養学を学び、国家試験に合格した者 |
乳児院においては、特に看護師や保育士の資格が必要とされますが、地方自治体や施設によって相談員、医師、栄養士といった専門職の資格を持つスタッフの配置も求められる場合があります。
乳児院で働くメリットとデメリットについて解説
これから乳児院で働こうとしている、もしくは既に働いている看護師の方も、もう一度メリットとデメリットを比較して、これからの自分の事を考えてみてはいかがでしょうか?
乳児院に入職してから「辞めたい!」と悩んでしまう場面もあると思います。
それでも乳児円だからこそのメリットもあるので確認していきましょう。
乳児院で働くメリット
乳児院では、家庭環境が複雑な子どもたちに対して、安定した環境を提供し、成長を支援することが求められます。
そのため、看護師や保育士などの専門職として、子どもたちを健やかに育てることができるというやりがいがあります。
また、乳児院では子どもたちの健康管理や保育だけでなく、食事管理や家庭訪問、または機関内のマネジメントなど多岐にわたる業務が求められるので多くの専門職が必要であり、仕事の幅が広いことが特徴です。
乳児院では、複雑な家庭環境や医療ニーズに対応することが求められるため、看護師や保育士としてのスキルを高めることができるとともに、心理学や社会福祉などの知識も身につけることができます。
乳児院で働くデメリット
乳児院での業務は、24時間体制で行われます。
そのため、夜勤や休日出勤が必要になることがあり、肉体的にも精神的にも負担が大きいと感じる場面が多くあります。
また乳児院で働く看護師は、子どもたちと長期間接し、その成長やケアに責任を持つことになるため、家庭環境が複雑な場合には、ストレスを抱えることもあります。
乳児院は、社会福祉法に基づく施設であり、公的な支援を受けて運営される場合がほとんどのため、民間企業に比べて給与面が低い場合があります。
もちろん施設によってメリット・デメリットは変わってきますが、乳児院での看護師の経験は、貴重なものとなり、成長することができる場合もあります。
乳児院看護師の求人は少ないのか?
乳児院看護師の求人は、一般的な病院やクリニックの求人に比べると少ないと言えます
乳児院は、乳幼児の保育や医療を行う施設であり、病院やクリニックとは異なる役割を担っています。
そのため、乳児院看護師の求人は、特定の施設に限定され、募集される数も比較的少ない傾向にあります。
ただし、地域によっては、乳児院看護師の求人が積極的に募集されている場合もあります。
最近では、保育園や幼稚園、小学校などの保健室での勤務も増えており、乳児院看護師と同様の知識やスキルを必要とする求人が増えています。
乳児院看護師を目指す場合は、看護師求人サイトや病院・クリニックの求人情報サイト、または看護師転職サイトなどを活用して、積極的に求人情報を収集することが大切です。
また、地域の看護師会や保健所などで、乳児院看護師の求人情報を得ることもできます。
子供と関わりたい看護師は乳児院?小児科?
ここまで読んでいても、子供と関わりたい看護師の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
乳児院と小児科を比較すると全然内容が違っているのがわかります。
自分がどのように子供たちに関わっていきたいのか・・。
それを踏まえて違いを確認していきましょう。
まず、患者の年齢層が異なります。乳児院は、0歳から2歳程度の乳幼児が対象となります。
一方、小児科は、0歳から15歳までの幅広い年齢層の患者を診療します。
親の参加についても、乳児院では「見学」という形で随時見学可能であることが多い一方、小児科では治療や診察の際には、基本的には親が同席することができますが、場合によっては親を退室させることがあります。
乳児院は、保育園のような雰囲気があり、患者に対してマンツーマンの丁寧なケアができる点が特徴的です。
一方、小児科は、専門的な医療機関であり、患者の病状や治療方針に沿って設備が整えられている点が特徴的です。
まとめ
乳児院で働く看護師が「きつい!」と感じる理由は色々ですが、多分入職する前のイメージと現実との大きなギャップが理由だと私は考えます。
子供が好きな看護師にとって、子供と関わり合いながら働けることは嬉しい理由になると思いますが、それ以上に責任が付きまとってきます。
乳児院は新卒の方が働くには、一般的には「無理がある」と言われています。
それでも乳児院の働く内容や環境を知ったうえで、本当に働きたいのであれば入職を考えてみてはいかがでしょうか?
乳児院には大変さもありますが、沢山のやりがいもあります。