「2025年問題」という言葉を一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?
2025年問題とは、戦後すぐに第一次ベビーブームにより誕生した、いわゆる団塊の世代が後期高齢者となり、医療や介護などの社会保障費が増大することを指しています。
2025年には、後期高齢者の数が2200万人を超え、国民の約4人に1人が後期高齢者になるだろうと予想されています。
ではなぜ看護師が不足すると言われているのでしょうか?
本記事では看護師が不足する理由について解説し、2025年問題にどのように対応していけばいいのか、看護師の知見からお伝えしていきたいと思います。
2025年問題が医療業界に与える影響とは
2025年問題により影響が最も大きいと言われている医療業界。
特に以下の3つの影響を与えると考えられています。
(1)労働力の不足
(2)クリニックや診療所の閉鎖
(3)医療費の増大
一つずつ見ていきましょう。
労働力の不足
後期高齢者が増加することで、病院を受診したり入院したりする方は増えますね。
ただでさえ昨今の医療は人手不足と言われている中で、患者の数が増えるというのですから、間違いなく医療従事者一人ひとりへの負担は大きくなるでしょう。
しかも日本の少子化の影響もあり、新しい医療業界を背負っていく若い世代が少ないことも労働力の不足に拍車をかけていると言えます。
クリニックや診療所の閉鎖
これは労働力の不足により派生する問題です。
若い世代の医療従事者が不足することにより、クリニックや診療所といった小規模の病院施設は閉鎖していくと考えられています。
その一方で逆に生き残っていくクリニックや診療所もあるでしょう。
それは「在宅往診」をしているクリニック・診療所です。
なぜかというと、日本の医療は「病院ではなく在宅での医療を」という方針により、入院を長期化させず、自宅に帰そうとしているため、在宅で療養する患者が増えているためです。
在宅に往診してくれる医師や看護師は貴重となり、今後も存続していくと考えられています。
医療費の増大
団塊の世代が後期高齢者となることで、国民の4人に1人もの割合で後期高齢者になるとされています。
高齢者が増えれば増えただけ、かかってくる医療費は増えますよね。
そのため医療費の増大も国にとって大きな負担となることが予想されています。
2025年には看護師が不足する!?
2025年に後期高齢者が増えることで、労働力が不足することはお伝えしました。
もちろん労働力というのは看護師も含まれます。
現在においても看護師は不足している状況が続いており、常にマンパワー不足という課題に直面してきました。
それは2025年においても変わりません。
ですから、看護師を養成しようと看護系大学の数は増え、潜在看護師の復職支援を行なったりしているのです。
しかしながらなかなか思うように増えていないのが現状です。
2025年に必要な看護師の数とは
厚生労働省が発表した、2025年に必要な看護職員の数は「188万人~202万人」としています。
この「看護職員」には看護師や准看護師だけでなく、保健師や助産師なども含まれていますので、実際の必要な看護師の数はもう少し減ることが予想できます。
なぜこれだけ数字に幅があるのかというと、さまざまなケースに合わせて検討しているからです。
例えば、1人の看護師が残業を多くこなして2人分の働きをしていたとしましょう。
1日を回すので5人必要なところでしたら、そこに必要な看護師の数は4人になります。
逆に残業が全くできない場合や、もしくは1人あたりの仕事量に大きく差がある場合など、各ケースに合わせて試算を出しているため、これだけ数に開きがあるのです。
また都道府県によって看護職員の必要な数が異なってくる点も、看護職員の数に差がある要因となっています。
看護師が不足する原因
看護師が不足する原因として、大きく分けて3つの原因があると考えられています。
(1)病床数が多い
(2)離職者及び潜在看護師が多い
(3)多様な働き方
それぞれ解説していきましょう。
病床数が多い
日本医師会総合政策研究機構が発表した『医療関連データの国際比較-OECD Health Statistics 2019-』によると、日本の病床数は1,653,234床あり、人口1,000人あたりに対して13.1となっています。
参考 日医総研 日医総研リサーチエッセイより
これは先進国の中でもトップクラスに多い病床数となっており、病床数が多ければ多いほど看護師が必要ですよね。
離職者及び潜在看護師が多い
看護師は離職率が高い仕事です。
日本看護協会の調査によると、2013年度以降から看護師の離職率は11%前後となっています。
例えば建設業や運輸業といった職種の離職率は5%以下となっていますので、看護師の離職率が高いことが分かりますね。
看護師は現在においても女性の方が多い職業です。
女性は結婚や妊娠・出産などのライフイベントによって仕事を休職・退職することもありますのでどうしても仕事を離れなければならないことがあります。
また看護師を離職後、別の職場に転職する方もいれば、復職しない方もいるでしょう。
「看護師資格を保有しながらも看護師として働いていない」といった方々を潜在看護師と呼んでいます。
潜在看護師になる理由は人それぞれですが、「病院勤務に嫌気がさした」という方や「看護師として働くのが嫌になった」という方など、看護師という仕事に魅力を感じられなくなり、潜在看護師になっている方も多いです。
多様な働き方
2019年4月から働き方改革関連法が施行され、多くの職種の働き方改革が進んでいます。
それは医療業界においても変わりありません。
特に看護師の労働環境を改善しようと日本看護協会も動いています。
日本看護協会は「働き続けられる仕組みを創る。その仕組みは実現可能で、持続可能な仕組みであること、看護職が生涯にわたって、安心して働き続けられる環境づくりを構築し推進する」としており、看護職における働き方改革の目標にしています。
つまりはライフイベントやライフステージによる変化があっても長く働き続けられるような仕組みを作ることを目標にしているのです。
しかしながら看護師の仕事の過酷さなどから、なかなか思うように進んでいません。
そのため正職員ではなく、ツアーナースやイベントナースなどの単発の派遣で、自分の働きたい時だけ働く看護師もいます。
また昨今の社会情勢から看護師の資格を生かしながら別の分野で働いている人も多くです。
例えば製薬系や医療機器関連の企業などが代表として挙がります。
他にも行政などで働く看護師も増えています。
看護師不足の就活・転職事情は?
看護師は常時不足しているため、就活・転職しやすくなっています。
しかし、それには条件があります。
例えば病院に就職または転職する場合は、以下の条件を満たしていると良いでしょう。
①夜勤が可能
②フルタイムでの勤務が可能
③看護師歴がある(転職の場合)
なぜ上記の条件が必要なのかというと、昨今の事情が関係しているのです。
現在世界中において、新型コロナウイルスが流行しています。
各医療機関も大きく打撃をうけ、新型コロナウイルスにより経営が悪化している病院が多いです。
そのため採用も一時ストップしているところが多くなっています。
採用を継続しているところも、上記の条件を満たしている方のみのところがあり、アルバイトやパートなどでの募集や、時短での勤務には対応していただけず不採用とされてしまうところも増えています。
いつも以上に厳しい就活・転職になることでしょう。
まとめ
この先看護師不足がしばらく続いていくことになりそうです。
では、看護師は就職・転職しやすいのかというと最近のコロナの影響もあって難しくなっているのが現状です。
難しい就活・転職を成功させるためには、ぜひ看護師専門の転職サイトを利用するようと良いでしょう。
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昨今の情勢にも詳しいですし、あまり転職に時間が取れない方にもオススメのサポートです。
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