看護師の業務の中で採血は日常茶飯事。
しかし、同じ採血でも患者さん一人ひとりの状態や血管の特徴によってスムーズにいくかどうかは大きく変わります。
採血が滞りなく行えるかどうかは、患者さんから事前に提供される情報が大きな助けになります。
今回は、採血時に患者さんからいただけるとありがたい情報について、看護師の視点から詳しく説明します。
採血前の情報が重要な理由
採血は多くの医療行為の中でも基本的なプロセスですが、それでもトラブルが発生することがあります。
例えば、血管が見つかりにくい場合や、患者さんが迷走神経反射を起こしやすい場合、さらにアレルギー反応のリスクがある場合などが挙げられます。
患者さんが事前に「自分の身体の特徴」や「採血に関する経験」を教えてくださると、看護師としては準備や対応がスムーズになります。
情報がないまま採血を開始すると、予期せぬ事態に直面し、患者さんにも余計な不安や負担をかけることになりかねません。
そのため、事前情報の共有は、患者さんと医療従事者双方にとって非常に重要だったりします。
看護師が喉から手が出るほど欲しい情報
採血時に患者さんから提供されるとありがたい情報は具体的であればあるほど助かります。
以下は、特に役立つ情報の例です。
- 血管の状態や採血経験
「いつも右腕で採ってもらっています」「この辺りの血管が出やすいです」といった情報はとても有益です。
血管が見つけやすい場所や、逆に採血が難しい部位について教えていただけると、余計な手間を省くことができます。
- 体調や過去のトラブル
「採血で気分が悪くなったことがある」「立っているとフラフラするので横になって採ってほしい」という情報も重要です。
迷走神経反射を起こしやすい人や、採血後に倒れる可能性がある人には、事前に横になっていただくなどの対策が取れます。
- アレルギーや薬剤反応
「アルコール綿で肌が赤くなります」という情報は、消毒用の代替品を準備するうえで欠かせません。
また、採血に使うテープや固定具に対するアレルギーについても事前に教えていただけると安心です。
- シャントや人工血管の有無
透析を受けている方などで「左腕にシャントがあります」と教えていただけると、針を刺してはいけない部位を避けることができます。
これらの情報は患者さん自身が一番よく知っていることが多いため、事前に共有していただけると非常に助かります。
患者さんから情報をもらえなかった時の困難
残念ながら、患者さんが情報を提供しないまま採血が始まることもあります。
針を刺してから「実は倒れやすいんです」「そこは血管が出にくいんですよ」と言われると、看護師としては内心「早く教えてくれれば…」と思うことがあります。
事前情報があれば未然に防げるトラブルが多いため、できるだけ最初の段階で情報をいただけるとありがたいです。
看護師の経験から見た「助かる患者さん」
長年採血を行っていると、事前に有益な情報を提供してくださる患者さんは「本当に助かる!」と思うことが多いです。
以下のような患者さんが典型的な例です。
- 自分の血管を把握している患者さん
「右手のここで採血してください」と具体的に教えてくれる患者さんは、作業がスムーズに進みます。
中には、「この血管が細いので手の甲から採ってもらう方が良いです」と教えてくださる方もいます。
- 迷走神経反射のリスクを理解している患者さん
「過去に採血で倒れたことがあります」と言って横になってもらう患者さんも、看護師にとってありがたい存在です。
立ちくらみやフラつきのリスクを防ぐことができるので、準備が簡単です。
- アレルギーや体質を正確に伝える患者さん
アルコールアレルギーやテープかぶれのリスクを教えてもらえると、トラブルを避けることができます。
「アルコールは使えませんが、クロルヘキシジンは大丈夫です」などの具体的な情報は非常に役立ちます。
採血時にありがちなトラブルとその防止策
看護師として採血をしていると、予期せぬトラブルが発生することがあります。
以下は、よくある問題と、それを防ぐために必要な患者さんからの情報についてです。
- 血管が細い場合
血管が細い方や、表面に出にくい方の場合、針を刺す際に失敗するリスクが高まります。
「手の甲なら採れます」「温めると血管が出やすいです」などの情報があると、看護師はスムーズに対応できます。
- 採血後の立ちくらみ
迷走神経反射が起きやすい人は、事前に「採血中は横にならせてください」と伝えていただけると助かります。
事後の事故を防ぐためにも、こうした情報は欠かせません。
- アレルギー反応
アルコールアレルギーやテープかぶれなど、皮膚に関するトラブルは、患者さん自身の申告が頼りです。
事前に伝えていただくことで、別の材料を用意するなどの対応ができます。
患者さんが気兼ねなく情報を伝えられる雰囲気作り
患者さんが事前に情報を伝えてくださることが重要ですが、看護師側にもそれを引き出す責任があります。
例えば、以下のような言葉がけをすると、患者さんが話しやすくなります。
- 「過去に採血で気分が悪くなったことはありますか?」
- 「どちらの腕が採りやすいですか?」
- 「アルコールやテープでかぶれたことはありませんか?」
こうした質問をすることで、患者さんが遠慮せずに情報を共有しやすい雰囲気を作ることができます。
患者さんが知っておくと役立つポイント
患者さん自身も、自分の身体についての情報を把握しておくことが大切です。
例えば、以下のような点を意識すると、採血がスムーズになります。
- 採血に使いやすい腕や血管を知っておく。
- 過去の採血経験で問題があったかどうかを覚えておく。
- アレルギーや反応の有無を医療スタッフに伝える準備をする。
まとめ
採血は看護師と患者さんの協力プレーです。
患者さんから事前に情報をいただくことで、スムーズかつ安全に行うことができます。
看護師も患者さんも負担が軽減されるため、遠慮せずにどんどん情報を伝えてください。採血という一見簡単な行為にも、コミュニケーションと準備が重要なのです。
これからも、採血を行うたびに「この情報は役に立つ!」と思う瞬間を大切にしながら、患者さんと信頼関係を築いていきたいと思います。