看護師の給与について、世間では「高収入」や「安定した職業」というイメージが広まっています。
看護師の給与に関する誤解は非常に根強いもので、一般的に「高収入」「安定」と見られがちですが、実情はそれほど単純ではありません。
多くの人は看護師の時給が2500円以上、もしくはそれ以上だと思い込んでいるかもしれません。
しかし実際のところ、看護師の時給は1500円前後が相場であり、この額で命と向き合い、激務をこなし、日々のストレスに耐えて働いています。
この現実は、決して「高収入」とは言えませんよ!
責任の重さと時給のアンバランス!
看護師として働くうえでの責任は非常に重いものです。
患者の命を守り、健康を維持するためにあらゆる医療処置や判断を下さなければなりません。
例えば、血圧測定や心電図の確認などの一般的な業務においても、異常を見逃さないように常に集中している必要があります。
ましてや感染症の流行がある時期には、PCR検査や血液検査といった感染リスクの高い業務も担わなければなりません。
臨床検査技師が時給1200円程度で働いていることもある中、看護師の1500円前後の時給も明らかに不公平に見えることもあるでしょう。
命を預かる仕事でミスをすれば、その結果は深刻な事態を招くことがあります。
患者の健康状態の悪化や、場合によっては命を落とす危険性さえあります。
看護師が犯したミスに対しては個人的に責任を問われ、賠償請求を受ける可能性すらあります。
こうした重い責任を負いながら、1500円という時給で働くことの厳しさは想像を超えるものです。
地域差と待遇の違い
日本国内で見ても、地域によって看護師の時給は大きく変わります。
例えば、都市部の総合病院では1800円から2000円といった高めの時給が期待できることもありますが、地方の小規模なクリニックや高齢者施設では1000円から1200円といった低い時給も珍しくありません。
「1500円もらえるなら良い方だ」とされることもあり、地域の格差が顕著に現れています。
ある地方の看護師は、「昔は1000円以下の時給も当たり前だったし、1200円あればまぁまぁ良い方」と話しています。
こうした状況では、看護師不足が慢性的になるのも無理はありません。
肉体的・精神的な負担!
看護師の業務は肉体的にも精神的にも非常にハードです。
日勤だけでなく夜勤もあり、不規則なシフトが続きます。
夜勤では緊急の対応やオンコールが必要となり、睡眠不足に悩まされることもしばしば。
肉体的な疲労だけでなく、患者やその家族からのクレーム対応、時には理不尽な要求に対応する必要もあります。
看護師の「激務」として語られる場面には、こうした見えにくいストレスも含まれています。
夜勤明けに、そのままオンコール待機に入らなければならないことも珍しくありません。
さらには休日が思うように取れず、まとまった休暇を取ることが難しいのも現実。
こうした労働環境では、心身ともに疲弊しきってしまう看護師が多く、「この環境で時給1500円は割に合わない」と感じるのも無理はありません。
看護師の給与と家計
看護師として長年勤めていても、時給が1300円台という現実に驚く人もいます。
例えば、看護師として9年間働いて月給を時給換算したところ、わずか1300円だったという話もあります。
家庭を持ちながらこの低賃金で働くのは容易ではなく、子供の学費や生活費に悩む看護師も少なくありません。
「息子のアルバイト代と変わらなくて悲しくなった」という声も実際にあります。
看護師は家庭の主婦として家計を支える役割を担うことも多いため、このような低賃金が生活に大きな影響を与えます。
偉そうに言うな!
看護師が「白衣の天使」として語られることは多いですが、そのイメージには美化された部分が多く、現実とは乖離があります。
ある看護師がパートで時給1400円で働いていることを話した際、「好きでやっているんだろう」とか「尽くすのが当たり前」といった無理解な反応が返ってきたこともあるそうです。
看護師の使命感は確かに強いですが、それを「当然」と受け取られるのは誤解です。
看護師は自身の命や健康を削りながら他人の命を支えている現実を、社会全体がもっと理解する必要があります。
看護師の待遇改善への必要性
看護師の時給は控えめに言っても2000円は必要だと私は思いますが、それでも業務内容や責任を考えれば十分とは言えません。
夜勤やオンコール対応、患者の急変に迅速に対応するための体力と精神力を必要とするこの職業に対し、より高い評価と待遇が求められます。
英国などでは、医療福祉関連職は公務員相当の待遇を受けることが一般的です。
このような制度が日本にも導入されれば、看護師の待遇は大きく改善されるのかもしれません。
他職種との比較
看護師以外の医療職も、給与に関しては厳しい状況です。
臨床検査技師や臨床工学技士の時給は看護師よりさらに低いことが多く、1000円から1200円程度の時給で働いていることもあります。
それでも、この仕事に情熱や使命感を持つ人々がいるため、求人が集まることもあります。
しかし、看護師や他の医療職が共通して感じるのは、「割に合わない」という思いです。
大学病院の医師でさえ、時給換算すると1000円以下という事実もあるほどです。
これでは、「命を預かる仕事」としての意義が報われていないと感じる医療従事者が増えるのも当然です。
事務職との給与格差も縮小してきており、「命をかける仕事」と「一般事務」の賃金に大きな差が見られなくなっている状況は、看護師としてのやりがいを損なう一因となっています。
まとめ
看護師の給与は、世間のイメージとは異なり非常に厳しいものです。
1500円程度の時給で働き、命と向き合い、激務をこなす看護師がいる一方で、待遇の改善がなかなか進んでいないのが現状です。
看護師だけでなく他の医療職も低賃金で働き続けていますが、医療従事者の努力とその責任に見合う給与や待遇が与えられるよう、社会全体がこの現実を理解し、改善を求める声を上げる必要があります。