看護師として働く中で、健康保険についてあまり詳しくないという方は、意外と多いのではないでしょうか?
かくいう私も看護師を退職し、夫の扶養に入ったことで、初めて調べた言葉です。
本記事では私のように健康保険をよく知らない方や、転職をする上で知っておきたい健康保険と年金の手続きについて解説していきます。
ぜひ最後まで読んでお役立てください。
看護師が転職したら健康保険と年金の切り替えは必要?
看護師が転職する時も、一般職が転職するときも、作業は変わりません。
基本的に仕事を退職するときは、利用していた健康保険証を勤務先に返却します。
万が一、退職した後も前の勤務先の健康保険証を利用してしまうと、非常に面倒な手続きを行うこととなります。
そのため退職日まで、もしくは退職後郵送などで、速やかに返却するようにしてください。
もし転職が決まっており、前の勤務先と新しい勤務先とで特に就業しない期間を設けていない場合、新しい勤務先で健康保険証が交付されますので、大きな問題はないでしょう。
しかし看護師が退職後も転職先が決まらない、もしくはすぐの勤務はせずに、少し休息期間を設けるなどの失業期間が発生する場合、健康保険に加入しない期間が生じてしまいます。
そういったときは次章の「3パターンの健康保険の切り替え」をぜひお読みください。
さて、話を戻しましょう。
健康保険の切り替えが必要になることはお伝えしました。
では年金の方はどうなのでしょうか。
年金に関しては、次の転職先が決定しており、退職日と入社日が同じ月の場合は転職先に年金手帳を提出すれば問題ありません。
しかし転職先が決まっておらず、失業期間が生じる方は国民年金への切り替えが必要となっています。
こちらは退職翌日から14日以内に、お住いの自治体で手続きを行うようにしてください。
詳しくは別章の「2パターンの年金の切り替え」でお伝えします。
3パターンの健康保険の切り替え
前章では看護師が仕事を退職したときは必ず健康保険の加入手続きを行わなければなりません。
退職後に失業期間が生じる方は以下の3つのパターンから対処法を選ぶようにしてください。
- 国民健康保険に加入する
- 家族の扶養に入る
- 今の健康保険を任意継続する
それぞれ解説していきましょう。
国民健康保険に加入する
国民健康保険とは、地方自治体が運営している健康保険で、自営業者や無職の人を中心に、会社などの健康保険に加入していない人や加入できない人が入る保険です。
国民健康保険の加入の条件や保険料などは各自治体によって異なっており、同じ収入であっても、保険料に変動があります。
また無職のため保険料が支払えないという方であっても、救済制度が用意されていますので、各自治体の窓口に相談するようにしてください。
国民健康保険に加入するためには、退職日の翌日から14日以内に手続きを行わなくてはなりません。
この時に自営業もしくは無職などの、現在会社に勤めていないという証明をできるものが必要です。
退職後、前の勤務先から離職票などの退職を証明できるものが交付されますので、それを証明にすることもできます。
家族の扶養に入る
退職後、しばらくの期間は働かないという方は家族の扶養に入るという選択もあります。
例えば配偶者の扶養に入ったり、両親どちらかの扶養に入ったりというパターンです。
この時は、扶養に入る方の会社に問い合わせて、書類の記入が必要。
書類の記入だけでなく、国民健康保険と同様に離職しているという証明書が必要になります。
2018年より、被扶養者となるための条件が厳しくなり「健康保険被扶養者届」を提出する際には、指定された添付書類が必要になりました
・続柄を確認する書類>>戸籍謄本または戸籍抄本
・同居を確認する書類>>住民票の写しの提出を求められることがあります
・収入を確認する書類>>課税証明書、年金証書、確定申告書など
・失業保険や障害年金、遺族年金、傷病手当金などの非課税収入がある場合には、受取金額の確認ができる通知書等のコピーの添付も必要。
ただし、次の場合は、添付が省略できます。
・所得税の扶養(控除対象配偶者、扶養親族)であることを事業主が確認し、その旨を届出書に記載した場合
・扶養認定を受ける人が16歳未満である場合
参考 日本年金機構 平成30年10月1日施行「日本国内に住所を有する被扶養者の認定事務」にかかるQ&Aより
もし扶養に入る選択肢を選んだ方は、扶養に入る方の会社に詳しい条件を問い合わせ、確認しておくことが大切です。
今の健康保険を任意継続する
任意継続とは、以前加入していた会社の保険に継続して入ることができる制度です。
この制度を利用するためには条件があり、退職日以前に継続して2ヶ月以上の被保険者期間があること、また退職日の翌日以降から20日以内に手続きが必要となるなどの条件をクリアする必要があります。
また最長で2年間しか保険に加入できない他、保険料も退職時の2倍になるなどのデメリットがありますので、しっかりと検討した上での加入をオススメします。
2パターンの年金の切り替え
看護師が退職により失業期間が生じる場合は、年金の切り替えが必要です。
切り替え方法として以下の2つのパターンがあります。
- 国民年金に加入
- 配偶者の扶養に入る
細かく解説していきましょう。
国民年金に加入
国民年金に加入するためには、退職日の翌日から14日以内に手続きをしなくてはなりません。
手続きはお住いの市区町村にある国民年金担当窓口です。
手続きの際にはマイナンバーカードやマイナンバーがわかるもの、個人の印鑑、年金手帳、そして前職を退職したことがわかる離職票などの書類が必要となります。
国民年金の他に、一緒に国民健康保険への加入手続きも行なっておくと二度手間にならなくていいでしょう。
もし転職先が決定し、失業期間が終了となる場合、こちら側では特に手続きを行う必要はありません。
新しい勤務先が諸々の手続きを行うこととなります。
配偶者の扶養に入る
配偶者の扶養に入る場合、健康保険の手続きを行うことで、ほぼこちら側の手続きは終了となります。
健康保険の加入手続きについては前章の「3パターンの健康保険の切り替え」をご参照ください。
必要に応じて、扶養に入る方の会社の方で手続きを行なってくれます。
年金切り替えの注意点
国民年金や扶養に入るなど、年金切り替え時は特に年金の未納に注意が必要です。
国民年金保険料の支払いは、国民の義務となっています。
支払いをしなければ、追加で徴収されたり、場合に応じて罪に問われたりする可能性も。
さらに将来受け取ることのできる老齢年金が少なくなったり、障害年金を受け取ることができなくなったりしてしまいます。
必ず手続きを行い、保険料を支払うようにしましょう。
ただし保険料を支払うことができない、経済的に難しい状況の時は、保険料の免除という制度があります。
国民年金第1号の被保険者は、毎月の保険料を納めていただく必要があります。
しかしながら、所得が少ないなど、保険料を納めることが困難な場合もあります。
そのような場合は、未納のままにせず、「国民年金保険料免除・納付猶予制度」の手続きを行ってください。
保険料の免除や納付猶予が承認された期間は、年金の受給資格期間に算入されます。
ただし、将来の年金額を計算するときは、免除期間は保険料を納めた時に比べて2分の1(平成21年3月までの免除期間は3分の1)になります。
また、納付猶予になった期間は年金額には反映しません。
ぜひ各自治体の窓口に相談してみてくださいね。
まとめ
看護師の方の退職や転職による健康保険と年金の切り替えについて解説してきました。
・退職後は健康保険と年金を切り替える必要がある
・健康保険の切り替え方法には「国民健康保険に加入する」「家族の扶養に入る」「今の健康保険を任意継続する」の3つのパターンがある
・年金の切り替え方法には「国民年金に加入」「配偶者の扶養に入る」の2つのパターンがある
健康保険も年金も、非常に大切なものです。将来的なことを考えて、必ず規定された期日以外に手続きを行うようにしておきましょう。
私も本記事を執筆するにあたって、健康保険と年金について改めて学ぶことができました。
皆さんもぜひ本記事を読んで、健康保険と年金について知っていただけますと幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。