看護師の仕事はイメージしやすいのですが、保健師はどんな仕事をしているのかイメージできないという人は多いです。
看護学生時代は、保健師よりも看護師の実習の方が多いので、実習で保健師の仕事を見て体験したからと言って理解できるほど簡単ではありません。
ここでは、実際に保健師として働いて感じた保健師の魅力や仕事の内容について紹介していきますね。
ぜひ働き方の参考にしてくださいね。
私が感じる保健師の魅力は?
保健師という仕事は、働く場所によって対象となる人や業務内容が異なります。
根本的な考えとして、地域住民の健康の保持増進のために仕事をするのが保健師です
実際に働いて分かった保健師とは、仕事の大変さや葛藤、自分の力ではどうにもならない問題を抱えながらも人のために尽力する仕事をしています。
でも保健師の仕事にはやりがいを感じる場面がたくさんあります。
そこで、私が感じる保健師の魅力についてお話してきますね。
赤ちゃんから高齢者までのあらゆる年代と関われる
保健師の仕事は、赤ちゃんから高齢者までのあらゆる年代が対象になります。
妊娠・出産、乳幼児の健康、子供の発達障害、思春期の性教育、労働者のメンタルヘルス、介護など、赤ちゃんから高齢者になるまでの一生で、保健師は必ず関わります。
このように人の一生の健康に関われるのは保健師の仕事の特徴と言えます
また、健康な人だけではなく、看護師のように病気を持つ人にも関わります。
看護師はその病気の治療と看護をメインとしていますが、保健師は病気を持った人が安心して地域で住むためにサポートしていくことが主な仕事です。
あらゆる年代、健康な人や病気の人、相談者や周囲の人など様々な人を対象として、広域的・包括的に支援できることが、保健師の魅力の1つだと感じています。
様々な年代の人から「保健師さんに相談して、気持ちが楽になった。ありがとうう」と感謝されることが多く、人のために役立つ仕事として実感できるのが保健師の仕事ですよ。
人の健康に介入し改善できた時の喜び
保健師の主な仕事として、地域の人や働く人の健康に介入することが挙げられます。
そこで介入した対象者の意識が変わり、健康に向かって行動し改善できた時の喜びを感じられることが、保健師の魅力の1つと言えるでしょう。
例えば毎年行われる健康診断で血圧が高い場合は、保健師の面談で対象者の食生活や運動習慣を聴き取り、血液検査のデータと照らし合わせて保健指導をします。
対象者によっては、今の自分には関係がないことだと健康に向かっての行動を起こさない人が多いです。
そのような対象者ほど、保健師にとって介入し甲斐があります。
保健師のあらゆるスキルを駆使して、対象者に健康の大切さを理解してもらえるように言葉をかけて、健康への関心を持ってもらう。
そして、健康に向かって生活を変えていけるように関わっていきます。
なかなか聞き入れてくれない頑固な対象者が、ちょっとした言葉がけがきっかけで自分の健康を見つめ直そうと変わってくれた時は本当に嬉しいですよ♪
このように人の健康のために生活に介入できるのは、保健師の仕事ならではの魅力と言えます。
子育て中でも働きやすい
保健師は女性が多い職業です。
そして、保健師として働くと収入面の安定や充実した福利厚生を得ることができるので、出産や育児を機に退職する必要がほとんどありません。
出産した場合は育休が取れるので、その間はゆっくりと休養と赤ちゃんのお世話をすることができます。
子どもが小さいうちは、看護師であれば夜勤や交代勤務があって働くことが大変ですが、保健師の場合は夜勤が無く、職場によっては時短勤務が可能なところもあります。
子育てをしながら仕事と家事をこなすことは本当に大変。
急なお休みや早退をすることが多くなると、仕事を任せてもらえなくなり退職せざるを得ない状況になる職業はあります。
つまり子育て中でも働きやすい職業であるという点が、保健師として働くことの魅力の1つと言えます
ここに挙げた3つだけが保健師の魅力ではありません。
働いてみると、もっとたくさんの魅力を感じることが出来ます。
保健師は人のために役立てる上に、自分にとって一生の仕事になる素敵な職業ですよ。
保健師の仕事の内容
保健師の仕事は、行政や産業の分野、学校分野など活躍できる場がたくさんあります。
そして、働く領域によって仕事の内容が異なります。
そこで主に3つの働く領域に分類して、保健師の仕事内容について簡単に説明してきますね。
地域住民の健康を守る行政保健師
地域住民の健康を守ることを主な仕事とするのが行政保健師です。
行政保健師は、各都道府県や各市町村で公務員として働きます。
地域に住む健康な人も、病院から退院してきた在宅で療養を必要とする人すべてを対象とします。
健康や医療福祉に関わる相談をすべて受けて適切な対応をしたり、困っている人に対しては適切な機関を紹介してサポートしたりといった仕事があります。
相談窓口とした役割の他にも、指導的な立場として地域住民に健康教育をしたり、他職種の人に研修会を開催して地域の健康意識を高めたりといった役割も果たします。
多くの人と関わり、地域住民が生活しやすい環境を作るための架け橋となるのが行政保健師として求められるスキルでもあります
さらに公務員として、デスクワークや書類作成などの仕事も多いので、医療職としての保健師とはかけ離れている仕事内容が特徴的ですね。
企業で働く人の心身の健康を守る産業保健師
企業で働く人の心身の健康を守ることを主な仕事とするのが産業保健師です。
産業保健師は、企業に一社員として採用されて働きます。
主に働く人の健康診断のサポート、検査結果によって行う保健指導、管理職に対する健康教育、ストレスチェックなどのメンタルヘルス対策などの心身の健康を守ることが仕事です。
他にも安全に仕事ができるように、労働者の作業環境や騒音や劇物による被爆などの環境をチェックすることも大事な仕事の1つです。
産業保健師は、そこで働く人から信頼される立場になるためにコミュニケーション能力や面談スキルが必要となります
労働衛生に関する知識もしっかりと勉強し、衛生委員会で積極的に意見を述べる立場でもあります。
最も慎重にすべきことは、働く人のメンタルヘルスです。
仕事のストレスによりうつ状態になったり、残業が多すぎて過労死に繋がる危険があったりと個別の対応が大事になります。
学校に通う学生や職員の心身の健康を守る学校保健師
学校に通う学生や職員の心身の健康を守ることを仕事とするのが学校保健師です。
小・中・高校で働く養護教諭とは違う職業として考えます。
学校保健師は、主に私立の小・中・高校、専門学校や大学に勤めます。
学校で子ども達がケガをした場合に応急処置をしたり、健康促進のために啓発をしたりします。
とくに最近は、子どものいじめや教師からのパワハラやセクハラによる自殺問題が取り上げられることが多いです。
そこで、学校保健師は学生のメンタルヘルスのケアが必要になります。
子ども達は大人に相談することは大きな一歩です。
ちょっとした悩みや心配事、相談に来てくれた子どもの表情や態度をしっかりと観察し、取り返しのつかない事態にならないように手を差し伸べることが大切です
このように3つの領域で働く保健師の仕事について解説しました。
どの職場においても同じなのは、人の心身の健康を守るということ。
それを基盤に保健師の仕事が広がっていくのだと感じています。
保健師をしてきて思う事
保健師として働いて感じるのは、保健師に向いている人とそうではない人がいるということ
保健師に向いている人は、コミュニケーション能力や課題を見つけ解決できるスキルがある人だけではありません。
すぐに結果が出ない保健師の仕事を、毎日地道に取り組める忍耐力が必要です。
看護師のように看護ケアをすれば目に見えて改善するわけではなく、長くても半年~1年以上かけて改善していくこともあります。
結果を求めるあまり焦ってしまうことなく、じっくりと日々の仕事をすることが向いている人であれば保健師の仕事にやりがいを持てると感じます。
まとめ
保健師の魅力、役割、領域ごとに違う仕事の内容についてご紹介しました。
人の健康に直接関わる仕事である保健師は、様々なスキルが必要になりますが、やりがいを感じられる職業です。
一度就職すると収入面やキャリアでの保障があり、離職することなく働き続けられます。
保健師として誇りを持って働けると良いですよね。