病院で働く外来看護師は、外来の診察室で医師の診察補助や検査誘導をしているだけではありません。
外来看護師には求められる大きな役割があることはご存知でしょうか。
それは、外来に通う患者さんを対象に様々なスキルをもって継続看護をすることです。
サポートを必要とする患者さんは、この継続看護によって療養生活の質を保たれています。
ここでは外来看護師に求められる継続看護の役割について、詳しく解説していきますね。
継続看護とは
病気の重症度だけではなく、退院後の生活に不安を持つ患者さんは多いです。
継続看護とは、どんな患者さんでも退院後に住み慣れた自分の地域で、生活の質を保ちながら安心して療養生活が送られるように入院前から退院時、外来通院時において継続してサポートしていくことを言います。
継続した看護をするために入院中は病棟看護師がサポートし、退院後は外来看護師がその役割を引き継ぎ途切れることなく一定の支援を提供することが大事
では、そもそも継続看護が大事になった社会的な背景を見ていきましょう。
継続看護の必要性
継続看護が必要となる背景には、入院期間の短縮化が関係しています。
療養上の問題が解決しないまま退院となる場合が多く、医療依存度が高い患者さんが不安を持ったまま自宅に帰ることが問題とされているのです。
そして入院期間が短くなることで、より一層患者さん自身の健康維持や増進、健康生活を自己管理することが必要になります。
継続看護では、このような患者さんの医療、保健、福祉において生活支援をしていく役割が期待されていると言えます
特に退院後の生活が、入院前とは大きく変化している患者さんに対しては生活の質を保つために、継続看護が非常に大事になってきます。
そこで大きな役割を担うのが、外来看護師です。
実際にわたしが働いていた大学病院では、退院した患者さんにとって一番身近で話やすいポジションとして外来看護師は存在していました。
同様に多くの大学病院や総合病院では、外来看護師の継続看における役割が重要視されており、研修が行われている病院もあります。
外来看護師に求められる役割
外来の患者さんに対して、医師の診察補助をしているだけが外来看護師の仕事ではありません。
患者さんが退院後も住み慣れた場所で、安心して生活できるために重要視されている外来看護師ですが、継続看護をする上で求められている役割があります。
ここでは主に4つの視点から、外来看護師の役割を見ていきましょう。
情報収集をする
外来看護師は、まずは対象となる患者さんの情報収集を行う必要があります
ただ患者さんの生活歴や社会歴、家族構成などの基本的な情報を収集することは当然で、さらに、疾患や治療などの病態についても確認します。
それだけでは、外来看護師に求められる情報収集としては不足しており、継続看護に必要な情報も確認していきます。
カルテ上では情報収集できず知っておきたいことがあれば、病棟看護師に聞くこともあります。
必要な情報を漏れなく集めて、今後の継続看護が患者さんにとってプラスとなるようにしなければなりません。
外来看護師は、入院中の経過を目の前で見ているわけではないので、サポートに必要な情報をイメージしながら情報収集することが重要となるのです。
限られた時間で患者さんの本音を聞き出す
外来受診をする患者さんは、継続看護が必要な医療依存度の高い患者さんであれば、頻回に病院に来ます。
ただ、入院していたり在宅にいたりするわけではないので時間は有限。
外来看護師は次々と患者さんを誘導しなければなりませんので、ゆっくりじっくりと1人の患者さんに1時間もかけることが出来ないのです。
そこで外来看護師に求められるのは、限られた時間の中で患者さんの本音を聞き出すこと
そのためには信頼関係を築き、コミュニケーションの中で患者さんの不安や悩みを顕在化させることで、どんなサポートが必要なのか把握します。
入院前と退院後の生活がガラリと変化する炎症性腸疾患の患者さんの場合は、患者さんが病気や治療、うまく病気と付き合っていく方法を確認し、サポートしていきます。
状況に合わせた看護を提供する
外来受診する患者さんの中で、入院中に手術をした患者さんや身体の機能の一部が変わってしまった患者さんに対して、退院前からずっと継続した看護が必要となります。
退院し、自宅に帰られた患者さんの生活の不自由さや悩みなどの本音を聞き出した後、外来看護師は解決策を考えていきます。
看護師にとっては、その日にやってくる患者さんの中のたった一人、でも、患者さんにとっては、外来受診は月に1回だけという場合が多いです。
そして患者さんは、外来受診の日に「こんな事を聞こう」「こんな話をしよう」という気持ちを抱き、病院に来ます。
外来看護師は、患者さんの日々変化する状況に合わせて看護を提供するスキルが必要になります
他部門との連携・調整を図る
外来看護師にとって、医療依存度が高い患者さんのサポートには頭を悩ませることが多いもの。
そして看護師だけのサポートだけでは資源不足のケースがほとんどです。
そこで大事になるのが、他部門との連携です。
入院中に看護担当をした病棟看護師との連携はもちろんのこと、地域連携室の看護師または保健師との連携が必須になります。
他に在宅での食事に対して不安がある場合は、病院の栄養士と面談する場を設けることもあります。
外来看護師は、退院後の生活を直接見るわけにはいきません。
そのため、本当の状況を把握することは難しいのです。
外来に受診した患者さんの生活状況を聞き、必要とされる他部門に連絡し支援を受けられるように調整することも、外来看護師の大事な役割の1つと言えますね
このように外来だけではなく様々な部門が関わり、1人の患者さんの生活の質を保てるようサポートしていくのです。
そして、中心的な立場でサポートしていく外来看護師による継続看護が非常に大切なのです。
まとめ
患者さんの入院期間が短くなることで、早く自宅に帰ることができるというメリットもあれば、療養上の問題が解決されないまま退院となるといったデメリットもあります。
外来は病院と在宅、病院と地域福祉との連携を図ることが大切で、支援を必要とする患者さんに合った継続看護を提供することが大事になります。
外来看護師の役割は、その中心的な立場となり患者さんをサポートしていくこと。そのためには、コミュニケーション力や対応力など様々なスキルが必要となるのです。